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る「船主責任相互保険組合(Protection and Indemnity Clubs,P&I Clubs)」にメンバーを募集し、会費を集め、さらにこれとは別にカリフォルニア州の海で運行されるタンカーには900億円(1$120円で計算)の保険に入っていることを証明してもらうことになったといった具合です。流出対策地域では、カリフォルニア州は海上流出対策機材を約25%多く要求しますし、事故のために備えておくオイルフェンスの量も、その必要量を各港の地区緊急時計画(Area Contingency Plan,ACP)にあった海上漂流結果分析に基づいて算出することを要求しています。

 

地区緊急時計画の作成過程を正式なものとする連邦政府の手続きには長い時間を必要としました。米国議会が、連邦、州、地方自治体が各船舶の事故対策計画のための基礎と枠組みを作成する過程として地区緊急時計画を位置づけていたからです。この各船舶の事故対策計画書というのは、米国で営業している全てのタンカー保有者が作成を義務づけられている計画です。

カリフォルニア州では、船舶および施設の緊急時計画作成のための基礎がOSPRによって作られることになりました。これらの計画書は、防止と対策の項目が1つの文書にまとめられています。OSPRはまず指導書を作成しました。それはOPA90の要求を満たすものでしたし、また各々の船舶や施設が緊急時計画を作成しやすくするためです。作成する人が必要とする自然資源トラスティー(Natural Resource trustee,以下トラスティー)からの情報も提供しました。この指導書は、自然資源の位置といった環境情報、レクリエーション目的で利用されている港などの特に経済的に重要な場所の位置情報、ボートの多いエリア、州立、国立の公園、養殖や漁業が行われている水域などの位置情報も含んでいます。この情報は他の連邦や州のトラスティー派遣機関と協力してOSPRが収集したものです。また、海洋大気庁(National Occanic and Atmospheric Administration、以下NOAA)の基準を用いてカリフォルニア州の海岸線の地図化も行いました。そうすることによって全ての海岸の全ての生息、地の地形学的な位置を特定できるようにすることが可能だからです。10タイプの生息、環境(湿地、岩礁など)の1つ1つは、政府や民間から得られる情報に基づいて、それぞれ適切な油除去行動計画に組み込まれています。次にOSPRは、最も環境的に重要な場所を特定し、各々のオイルフェンス計画を作成しました。法律上救護しなければならない鳥や海棲哺乳類の数とその分布の基準を示した野生生物救護の指導書も、緊急時計画を作成することを支援するためにOSPRが提供したものです。

 

OSPRはまた第11米国沿岸警備隊と共に油事故の際の事故対策統轄体制(Incident Command System)の現地対策ハンドブック(Field Operations Guide)を発行しました。このハンドブックでは、一つの一貫した、しかも応用のきくような流出管理システムが示されています。このシステムは、後にそれぞれの地区緊急時計画にも盛り込まれましたし、米国沿岸警備隊が全国レベルで事故対策統轄体制を採用する基礎的な参考資料の役割をはたすことになりました。これらの文書は、地区緊急時計画を作成する際に大変役立ち、油事故の際の野生生物対応の主な問題に対するガイドになっています。

 

事故対策統轄体制が連邦と州と事故原因者の3者を1つの合同事故対策統轄本部にまとめます。この指令団が事故の対応を一括して担います。事故原因者がこの指令団に参加する理由は、事故原因者は事故対応にかかった費用の支払いと油除去活動を州と連邦の法律で義務づけられているからです。カリフォルニア州ではカリフォルニア州魚類鳥獣保護局が州の自然

 

 

 

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