であった。
調査内容は、大きく以下の5項目を実施している。
1. 被害規模推定調査
a被害個体の種の識別
b被害個体発生の記録収集整理
c油流出・漂流・漂着状況を整理し、(b)のデータと合わせ被害規模を推定
2. 海鳥の繁殖地への影響調査および繁殖状況調査
3. 海鳥の死亡要因の解明
a被害個体の病理解剖による死因の分析
b死亡個体の栄養状態の分析による死亡要因の分析
4. 海鳥の分布状況把握調査
5. 水鳥救護体制、手法整理
これらの調査結果についてはまだ最終的なとりまとめが終わっていない段階であるが、被害個体の種の識別、被害記録の整理、被害規模の推定調査はほぼ終了しており、これまでに以下のような事項が明らかになってきている。
1. ナホトカ号の油流出事故が発生した1月から3月の間に、日本海沿岸の各府県での油汚染によると推察される鳥類の保護収容個体数は1,315個体で、府県別では石川県の615個体が圧倒的に多く、全体の47%を占めている(図1)。
2. 種別に生体保護、死体回収の比率が大きく違っており、生体での保護が少なかった種類としては、ウトウの2.8%、ハシブトウミガラスの9.7%。生体での保護率が高かったものはウミネコの75%、アカエリカイツブリの65.1%、オオハムの60.4%、ミツユビカモメの57.1%。総じてアビ類とカモメ類は生体での保護率が高かった(図2)。
3. 府県別では、保護収容数の多かったウミスズメとウトウについてみれば、ウトウは青森県から島根県まで満遍なく各府県で収容されているのに対して、ウミスズメは石川県で9割以上が、次いで福井県で5%程度が収容され、この2県で96%の保護収容が見られる(図3)。
4. 発見地の状況別では、発見地の状況不明のものも多いが、全体の70%が砂浜、砂丘、砂利浜で発見されている。不明のものを除くと全体の83%が砂浜、砂丘、砂利浜で発見されている。
島根県では海上で油回収中に収容されたものと比較して漂着したものの数が非常に少な
かった(図4)。
5. 被害規模の推定調査は、被害鳥の発見場所、日時の記録から、
・発見までに消失した数
・調査できない海岸での漂着数
・漂着までの水没数