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の影響と思われる赤血球破壊亢進の結果としてのヘモジデリンの沈着がみられることが多かった。へモジデリン沈着の増加は肝臓でもしばしば認められた。また、骨髄では赤血球系細胞の増加と白血球系細胞の相対的減少が認められる傾向があった。

 

ウミスズメ80羽についてウトナイ経由(50羽)と保護地経由(30羽)の個体について病変の出現頻度を比較してみると、右図のように全体的には保護地からの直接経由の個体のほうが病変の発現率が高い傾向を示したが、亜急性から慢性変化である肝臓病変ではウトナイ経由の個体のほうがやや高い結果となった。

これらの病変の発現率の差の正確な意義は、凍結処理と死後変化の影響もあって組織検査が難しかったため、あまり明らかにはならなかった。

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消化管内における黒色物の存在をみると、ウミスズメ類全体でみた場合、83羽のうち、口腔内2羽、食道内7羽、胃内9羽、小腸および大腸でそれぞれ8羽に黒色物が認められ、消化管のいずれかに黒色物が存在する個体は12羽(14.6%)にのぼった。

黒色物の存在率を経由地別にみると、右図のように、認められたのはリハビリテーション・放鳥施設であるウトナイ経由の個体では51羽のうちの5羽(9,8%)、保護地からの直接経由の個体では32羽のうちの7羽(21.9%)であった。放鳥施設を経由した個体のほうが保護地からの直接経由の個体よりも存在率は低かったが、生体回収された個体ですでにリハビリテーションの過程に入った個体においても体内に油の影響が残存している個体が10%前後存在していることが示された。この事実は前述した通り、注目すべき点である。

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次にアビ類について触れておこう。

病理検査をしたなかで、飼育経歴の内容と病変についての検討が可能なアビ類(オオハム、シロエリオオハム)の総数は30羽であった。そのうち、オオハムが19羽(63.3%)であり、その雌雄比はほぼ同じであった。シロエリオオハムは11羽(36.7%)であった。それぞれの体重平均値は同じ種類の同じ性別の鳥においても個体差が大きかった。

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