将来の油流出事故対応のための施設
1) 油に汚染された野生生物の救護のための専用施設が日本国内に1、2ヵ所建設されるべきです。(油流出事故が起こる確率が最も高い場所、または重大な環境被害が生じうる場所といった観点から施設の場所が選定できるでしょう。)
2) 野生生物の搬送を楽にするために、海岸からその専用施設までの交通手段とルートを事前に決めておくべきでしょう。
3) 油に汚染された野生生物を適切に収容、救護するために推奨されている手法の全てが実現できる様な専用救護施設を作るべきです。こうした施設は、多くの海鳥(500羽から1,000羽)や海棲哺乳類を収容するスペースがあり、換気、屋内のケージ、水質、水圧、排水処理、屋外の回復プールといったそれぞれの要素が十分なものでなくてはなりません。
推奨の根拠:
1) 十分に装備の整った油に汚染された野生生物の救護施設を1、2ヵ所作る方が、多くの県の施設に装備を配置するより安上がりです。
2) 日本の国土は比較的狭いので、日本の中央付近に施設があれば、どの県から鳥を移送するのにも、長くて3時間しかかからないでしょう。
3) こうした専用救護施設は、(カリフォルニアの油汚染生物救護ネットワークの施設の様に)油に汚染された野生生物の救護のために利用されていない時は、研究や教育、その他の野生生物の救護などにも利用できるでしょう。
4) 各県では指定された動物病院か野鳥園が、油に汚染された野生生物を専用施設に移送する前の一次収容施設として利用できるでしょう。各県では、こうした施設のリストが作成され(またはコンピュータ上のデータベースとして利用できるようにし)、流出事故の際にマスコミに配布できるようにしておくべきでしょう。
5) 一般市民は油に汚染された野生生物を回収すべきではありません。何故なら、それは回収した人に健康被害を与えうる行為ですし、動物を助けるどころか危害を与えてしまうかもしれないからです。一般市民は油に汚染された野生生物を発見したら動物の捕獲と取り扱いの訓練を受けた者に連絡するべきでしょう。一般市民が鳥の捕獲と取り扱いができる人にすぐに連絡ができるような体制が各県で整備されるべきでしょう。
6) 指定された施設の職員は、油に汚染された野生生物の救護の訓練を油流出事故が発生する前に受けるべきでしょう。
7) 受け入れ施設として指定されるには、必要とする備品と医療機材がその病院あるいは保護施設に常備してある必要があります。以下のリストは、まだ完全ではありませんが、油に汚染された鳥の安定化に必要な主な備品を示しています。