1992年のリオデジャネイロでのサミット以降、世界的に再生可能なエネルギーを志向する気運がいっそう高まった。バィオガスは、ガソリンに代わる燃料として、天然ガスや軽油を補うと考えられる。
バイオガスは天然ガスのパイプラインで輸送可能であり、ガス業界がバイオガスを事業対象外にとどめておく技術的な理由はない。しかし、ほとんどの地域で、バイオガスを事業に含めるという話しは持ち上がっていない。バィオガスは、政治的にはまだ受け入れられておらず議題にもなっていないが、これはおそらく天然ガスが不足していない上、バイオガス利用に向かうだけの市場または政治的な圧力がないことが理由である。ガス業界にとつて、バイオガスを利用することは、環境に関する議論で業界の威信を高める一手段であり、おそらく21世紀の西側諸国の輸送業界にとっても必要なことである。
資金
ノルディック・インダストリアル・ファンドとKFBは、このプロジェクトの資金に対する主要かつ初期の貢献者であると考えらるだろう。ノルディック・インダストリアル・ファンドは290万クローナ(14.5%)の資金を提供しており、この規模は単独のものとしては最大である。同プロジェクトの資金は31%が公共資金(税金)から、残りの69%は産業界から拠出されており、内訳は、ノルディック・インダストリアル・ファンドが約19%、スウェーデンが21%、ノルウェーが15%、フィンランドが10%、デンマークが4%である。
2 技術
2.1 新しい技術
プロジェクト開始時には、大幅な排出ガス削減に焦点があてられ、NOxの排出量を10〜15グラム/kWhから、2グラム/kWhに減らすことが目的とされた。一酸化炭素(CO)とパーティキュレート(PM)、未燃メタンつまり、炭化水素は問題ないと思われる。
英国のRicardoでは、スカニア社の11リットルバスが、3元触媒を用いた理論空燃比で走行できるように改造された。また、米テキサス州のサウスウェスト・リサーチ・インスティチュート(SwRI)においては、9.6リットルのボルボ社のバスエンジンが、リーンバーン用に改造された。
リーンバーン・エンジンと比較して、理論空燃比(ストイキ)によるエンジンのHC低減は問題がない。一方、この時点では、 リーンバーンエンジンの燃料消費量は、ストイキエンジンよりも約20〜30%優れていることが示された。
様々な測定の結果は、この報告書の3章「環境」に記載する。
RicardoのTWC/ECR(三元触媒/排出ガス再循環)によって、一段と排出ガスを削減することができるが、コントロールシステムや燃焼室の設計の面で最大の課題を生んで