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このプロジェクトの根幹には、将来、ディーゼルバスがとって代られる理由が、耐久性、経済性、受容面ではなく、エミッション水準と騒音面で弱点をもっているためであるという考え方がある。このため、プロジェクトの焦点は、近い将来ディーゼルエンジンでは達成不可能な、一段と低い排出ガス基準を満たすことにあてられている。

 

プロジェクトの主導側は、輸送業界に対して価値ある技術開発を提供することを望んでいるため、もちろん経済的な問題にも焦点があてられる。

 

低公害バスの他の運行経路を見つけ、エンドユーザーに選択肢を与え、市場の競争を生むことが目的である。この場合の競争は、おそらく製造業者や石油、エネルギー業界が、以前「実行は不可能」と表明していた、環境面の最適化を推進することにつながる。

 

スウェーデンでは、大規模な政府資金がエタノールバスの開発支援にあてられたことがあった。製造業者や石油会社による、これまでで最大の環境的な成果や開発にあわせて、天然ガス、バイオガス、エタノールを燃料とするバスのエンジンの開発が進行している。ディーゼルエンジンや従来の燃料の品質を改善する理由に、おそらく、環境対策面の競争がある。環境面では、低公害車やクリーンな燃料で走るバスを存続させるため、ディーゼルエンジンや軽油について「可能以上」のことが求められている。ガスおよびエタノールに関するプロジェクトは、従来の技術を環境面で開発することによって、環境上の課題に最も重大な貢献をしてきたといえるであろう。

 

1.3 天然ガスとバイオガスの関係性

天然ガスの主な成分はメタンである。バイオガス(嫌気性分解ガス)の主成分はメタンと二酸化炭素である。

これら二つのガスに関係があることは明らかで、天然ガス自動車に用いられる技術は、バイオガス自動車用いられるのと同じである。

 

排水処理施設から生産したバイオガスの清浄化は困難ではなく、また、廃棄物が分けられるような新しいごみ処理場からのバイオガスの生産も困難ではない。しかし、古いごみ処理場には多くの成分が含まれている可能性があり、自動車に利用するのは非常に困難である。性質によって区分できる廃棄物処理や物質の再循環に関する技術の開発が進めば、将来、廃棄物から相当な量のメタンが生産できる。スウェーデンの場合、この量は2010年までに15〜20TWh(スウェーデンガス協会)と予想されており、理論上は、同国における年間の軽油消費量に相当する。

天然ガスの供給量が限られていたため、バイオガスの導入は、まず第一に供給の問題であった。しかし、供給、清浄化、自動車技術の面で、天然ガスと同じように実行可能性が証明されてからというもの、「天然ガスより自然的」な再生可能でCO2を排出しないガスを利用することの利点は明白になっている。

 

 

 

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