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輸送関連の環境汚染を減らすことが社会的に必要とされており、天然ガスおよびバイオガスを燃料とする自動車は、このための解決策のひとつとなっている。

 

 

1. 背景

1.1 経緯と達成目標

マルメー・エナジーとマルメー・トランジット・オーソリティーは、LPGバスの試験プロジェクトが終了したのを受け、新しく天然ガス燃料自動車の試験を計画している。3台のバスが改造され、燃料供給元であるマルメー・エナジーは大型のItalian Nuevo Pignoneコンプレッサーを調査・購入し、バス車庫の通りをはさんで向かい側にこれを導入した。

 

当時、標準的なバスから排出される汚染物質を減らすのには非常に時間がかかった。このため、北欧閣僚会議は1986年12月、デンマークのエスビアウで、招待者のみを対象にした会議を開催した。これには、企業やオランダのTNO、北欧諸国の政府機関の一部が招待されている。会議報告が作成され、会議の成果は1988年5月31日まで維持された。同日には、グレーター・ストックホルム・トランジット・オーソリティーの技術マネジャー、Rolf Berg氏が、2年に一度開かれる北欧公共コミュニケーション会議に先駆けて、ストックホルム・フェアで、他の都市の輸送当局者と会合を設定した。これが、「北欧共同ガスバス・プロジェクト」の始まりである。

 

Vattanfall(当時のスウェーデン国家電力庁)の主導の下、実情調査などが行われた。北米、オランダ、イタリアおよび他の北欧諸国から、運行および排出ガスに関する事実情報が集められた。このプロジェクトの準備として、約100〜125の企業、個人、組織を対象に入念なインタビューも行われた。プロジェクト資金はすべて、Vattenfall、STU(現在のNUTEK)、TFBが拠出している。

 

同プロジェクトで達成された目標については、1990年のブエノスアイレスでの会議で結果報告が行われ、目標とされているエミッションの水準は、達成が困難だとされた。しかし、すべての製造業者や研究所は、「達成不可能」と報告してから2年以内に、同様のエミッション水準を提示した。

 

1.2 目的および目標

天然ガスを燃料とするバスおよびトラックは、当時まで、実際には、排気管からでる黒煙が目に見えないという単に「クリーンな燃焼」として語られていた。このため、「エミッションの水準を大幅に削減できる可能性を調査すること」が目的とされた。

 

この時までは、普及しているCumminsとIvecoのエンジンが、最良の排出ガス性能を示していた。

 

 

 

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