車は、徐々に消えていく可能性がある。新車台数が増加すれば、よりエネルギー効率の高い、環境配慮型の自動車の導入は容易となろう。また、議会で、自動車購入税の廃止が決定されたことから新車の販売は促進されるであろう。
エタノールの市場性
・ガソリンとエタノールの低混合ブレンド
現在のスウェーデンの基準では、ガソリンとブレンドするエタノールの割合は5.5%(エネルギー量換算で3.9%)となっている。また、ETBEまたはMTBEが追加ブレンドされることもある。
エタノールの混合率を引き上げることが、輸送部門におけるバイオ燃料の利用の拡大を急速に進めるための一手段になるのかという問題がある。(表4で示されるように、米国ではエタノールのブレンド率10%のガソリンが、ブラジルでは同22%のガソリンが利用されている。)しかし、このような高濃度ブレンドを用いるた場合、スウェーデンの気候ではおそらく運転上の問題が生じるであろう。
環境クラス?Uでは、ガソリンに含まれる酸素の割合が2.0%に制限されている。(エタノール換算で約5.0%)。2000年に発効予定の新しいEU令については、ガソリンの酸素含有率を最大2.3%とすることが提案されている。エタノールをブレンドすることによって、蒸気圧の上昇という問題も生じる。これは炭化水素の排出が増加することにつながるほか、運転にも問題が出る。
スウェーデンにおける、エタノールの混合率が5.5%以上のブレンド燃料を導入する際の主な問題は、アプリケーションによって結果に差が出ることである。エミッションに関連して、車種や製造年などの規制が必要になるであろう。特にエタノールの割合が高いブレンド(高濃度ブレンド)を考慮した場合、ガソリンとエタノールとのブレンドは、複雑な問題である。
・フレキシブルフューエル車(FFV)の導入
2010年までに道路輸送部門で利用される燃料の15%を代替燃料とするには、広範な自動車所有者を対象とすることや、開発、技術改善が必要であるCO2以外の排ガス性能についても、FFVが他の自動車に劣らないことが大切である。
技術開発の推進を目的とした、FFVに関する技術開発プロジェクトの発足も考えられる。様々な燃料を最適化し、スウェーデンの気候でこうした自動車の試験が行われることになろう。石油業界は、FFV向けの燃料流通網の設立を進めると予想される。
長期の目標として、1種類の燃料だけを対象に設計されたエンジンを持つ自動車を開発すべきか、またはFFVの導入を継続すべきか、というのが重要な問題となっている。この判断を左右するのは、北欧諸国や欧州大陸以外でも自動車用燃料としてエタノールが導入されるか否かということである。エンジン技術は、それぞれの燃料の性状にあった方法で開発されることになろう。