スウェーデンエタノール開発財団(SSEU)は、産業用の小麦を原料とした場合を想定して、95%のエタノール、1リットルあたり3.0クローナ、というのが現実的な数字だ、としている。また、ここで提示されているのは、でんぷんとセルロースという2種類の原料からエタノールを生産するという概念である。現在の技術によるエタノールの生産コストは、比較的良く知られているが、わらを発酵性の砂糖に加水分解するコストはほとんど具体的になっていない。このため、SSEUが見積もっているコストの妥当性または商業生産までに要する期間を評価することはできない。
2010年までバイオ燃料導入率15%という目標に照らし合わせると、我々が報告書で用いている原料と原料コストを基本として考えるのが適切だと判断された。商業ベースのエタノール生産工場を3〜5カ所設立するというSSEUが提示した概念は、試験所やパイロットプロジェクト以外で試されていない技術を用いるものであり、現状ではいくぶん時期尚早であろう。
酵素加水分解の研究は、ランド大学で行われている。また、米国が、木材の酵素加水分解を基本にした、より費用対効果の高いエタノール生産のための技術を開発中である。米国の目標が達成されれば、あるシナリオでは、石油価格換算で、年間コストが15億クローナに削減でき、追加コストも年間5億クローナになる。
また、エタノールの価格は、生産コスト以外に、世界的なエネルギー原料の価格にも左右される。
さらに、エタノールの価格と生産コストは、代替燃料の導入についてのEU令にも影響を受ける。この規定は、最低水準の課税と同種の燃料に対する同水準の税金などを内容としている。加鉛ガソリンと無鉛ガソリンというように、質の違いによって税金に差を設けることは認められない。また、非鉱物油系燃料のエタノールやバイオ燃料の税率は、代替される鉱物油系燃料と同じとすべきである。ただ、この例外も認められ、化石燃料とバイオ燃料の税金に差異を設けることも可能となったが、現実的な実施は可能になっていない。しかし、大規模なデモンストレーション計画を支援する規定は、各国の実状に応じて適用されており、EU加盟国における代替燃料の導入に際して、このEU令との矛盾がないように思われる。
代替燃料の利用
スウェーデンにおける現在の状況
エタノールを中心とした化石燃料の代替となる燃料の普及を促進するには、様々な種類の自動車をアプリケーションとすることが必要である。
以下の情報は主に、スウェーデンの自動車製造・販売業者協会の統計に基づくものである。
車種別では、化石燃料は77%が個人乗用車に、23%がディーゼル車に利用されている。また製造後10年未満の自動車が普及台数全体に占める割合は、個人乗用車が66%、バスが約56%、トラックが約65%である。古い自動車を新しい自動車に置き換える必要性は高いであろう。このことから、古い、環境に悪影響のある自動