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ツタに頼んでウィーンヘの転属の許可を得て、久し振りにハンジの楽屋へ来て達頼を楽しむ。二人は結婿を望むが、叔母の宮内庁長官夫人クロティルデは、おきまりの貴族と歌手の情事に反対。二人の仲はままならない。グストルとハンジは初めて逢った時のことをM6「-杯のシャンパンで」に託す。

ヴイリー伍長が、作曲したワルツ「春のパレード」をハンジが気に入ってくれるかどうか、と胸をときめかして訪ねて来る。グストルとハンジは抱擁の真っ最中、ハンジはお芝居の稽古と言い、グストルを役者と紹介。ヴイリーは真に受け、M7ワルツ「春のパレード」を歌って聞かせれば、ハンジもグストルも気に入り、ハンジは「一週間後の“軍のカジノ”の慈善バザーで歌う」と約束する。何とそれは、彼の所属するドイツ騎士団軍楽隊の伴奏で、なのだ。ヴィリーは大喜び、自分の作った歌が初めて人気歌手ハンジによって歌われる.′と喜び勇んで去る。

グストルは「奴さん、軍のカジノで僕の軍服姿を見て驚くだろう」とにやりとすれば、ハンジは、このオペレッタレヴューが終ったら久し振りでウィーンの春の夜を散歩しよう、と誘い、舞台に向かう。

舞台はウィーンの春の宵、黒と白のカップルが踊る中をハンジ出、官能的なウィーンの夜を讃えてM8「ウィーンは夜がいちばん美しい」を歌う。

 

第三場 マダム・テレーゼ・ヒューフナー・ベーカリー M9「マダム・テレーゼ・ヒューフナー・ベーカリー・フリッジ音楽」。

次の日の朝。ベルリンから来たパン職人の見習い少年フリッツが、昨夜来たマリカにすっかり夢中になり、仕事をほっぼらかしてラヴ・レターを書いている。ベーカリーのマダム・テレーゼが出てそれを見つけ、「あなたは一人前のパン職人になるためにここへ来たんでしょ」と怒り、パンの呼び方がウィーンとベルリンではどう違うかM10「ちやんと言葉を」を歌い合い、教える。

マリカが出、テレーゼに「叔父様が亡くなって何年」と薮から棒に聞けば、テレーゼは驚き、8年と答える。マリカは簸で「どんな大問題をも打開し、親戚の方の幸福に手を貸す」とはこのことか、とうなずき、それまでウィーンにいよう、と心に決める。マリカは自己紹介をかね、自分がどんな娘かM11「わたしってお馬鹿さん」を歌う。マリカはテレーゼにハンガリー・ダンスを教え、のりにのり、出て来たパン職人まで巻き込んでチャールダーシュを踊り、とど、皇帝のパンを買いに来た宮廷顧問官ノイヴィルトとぶつかり将棋倒しとなる。

驚くノイヴィルトとテレーゼ。ノイヴィルトは毎朝、スミレの花束をテレーゼに届けるスミレの騎士なのだ。テレーゼが焼く棒パン(ザルツシエタンゲル)は皇帝が召し上るパンだと聞き仰天するマリカ。それだけではない。どうやらノイヴィルトこそ糞にある「大問題を打開し、親戚の方の幸福に手を貸す」ご当人ではないか、と思い当る。

そこへ隣りの床屋のスヴォボダが来る。スヴォボダは妻を亡くし、五人の娘を育てているが、テレーゼにぞっこんで、三年間、雨の日も風の日も通い続けるノイヴィルトが来ると、用もないのにやって来て、二人の仲をひっかき廻す。そんな中でも、ノイヴィルトはテレーゼに、明日の夜、自分の誕生日にかこつけグリンツイングのホイリゲでのデートを取りつける。

と、ドイツ紛士団軍楽隊が店の前を行進して来る(M12「ドイツ騎士団軍楽隊・行進曲」)。マリカは飛び出し、ヴイリーと再会する。二人の仲を怪しんでテレーゼが出、観察すれば、その度にヴィリーはパンを買わざるを得ない。それでも今日の午後、軍のカジノの慈善バザーで自作の「春のパレード」が歌われ、成功したら、明日の夜、グリンツイングのホイリゲヘ行こう、と誘う。マリカの奄のラッキー数字は4と12と75。4はヴィリーのドイツ紛士団は第四歩兵連隊に属し、明日は5月12日と、ラッキーがこつも重なり、マリカの心は躍る。

二人が固い握手を交せば、ヴイリーに幻想の音楽が湧き起り、二人はM13「ふたり向き合えば」を歌う。ヴイリーだけにしか聞こえなかったメロディもいつしかマリカに聞こえ、二人は明日の夜のデートを約束する。ヴイリーは軍楽隊を追って、町に飛び出す。M14「間奏曲」。

 

第四場 軍のカジノ

ドイツ椅士団の軍のカジノでは、恒例の春の慈善パーティが、宮内庁長官クロティルデ夫人の主催で、ヤンチュ・オペレッタ劇場の協力を得て、華やかに開かれている。

レヴューガールと玄人はだしの芸達者なミッターマイヤーが歌い踊る、“ローベルト・シュトルツ・ヒット・メロディ”。1910年代の最新のリズム、ローリング・トゥエンティーズが舞台に展開する。M15A「カジノの小さなピアノで」、M16B「ハロー・ベルの精よ」。クロティルデは大満足、招待客を福引会場に誘う。グストル中尉がハンジを伴い来て、ヴィリーと出くわす。ヴィリーはグストルが上官だと分かり、ハンジの楽屋での失礼を平謝り。改めてハンジに「春のパレード」をよろしく、と頼み去る。グストルは母親代りになっているクロティルデに今日こそはハンジを紹介する、と意気込むが、腰くだけ。ためらいがちなグストルにハンジはがっかりするものの、変りないグストルの愛を確かめ、二人は歌うM17「僕の歌を君だけに」。

 

 

 

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