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『春のパレード』音楽とドラマ

 

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第一幕

 

序曲

華やかな、聞けばたちまち血湧き肉踊る『春のパレード』の主題歌をテーマにしたオーヴァチュア。

 

第一場 春のフラーター公園

20世紀初頭、1905年のウィーン。陽春の光あふれるプラーター公園。大観覧車が廻り、賑やかな見せ物小屋の呼び込みが聞こえ、待ちに待った春を満喫するウィーンの町の人々がM1「序奏-“春のフラーターヘ”-」を歌う。ハンガリーのバラトン湖畔のバラトンフレドからウィーンのパン屋の叔母テレーゼを訪ねて、一人やって来た春の女神の申し子みたいな田舎娘マリカが、初めて見るウィーンに感激してM2マリカ登場の歌「ウィーンのひびき」を歌えば、あまりの可愛さに人々も和す。ジプシーの籤売り屋が来て、ウィーンでの将来を占ってやる、とマリカに勧めれば、その奄には「花の都、夢の都ウィーンで、あなたの運命がきまる。積もするが、それ以上にすぐ埋め合わされる。二人の男性と縁がある。一人は芸術家。一人は貴族。あなたはどんな大問題をも打開し、親戚の人の幸福に手を貸す。その時、高貴な人があなたの運命を握る。あなたが最初にぶつかった男性にご注意を。その人こそ生涯の伴侶となる。ラッキー数字は4と12と75」とある。

その間にマリカのトランクとカナリアの籠を置き引きに持っていかれる。慌てるマリカ。途端にぶつかった相手は、ドイツ賠士団軍楽隊の鼓手、ヴィリー・セードルマイヤー。ヴイリーは、盗まれたカナリアの籠に叔母の住所をくくりつけておいたので、どこへ行っていいか分からない、と泣いているマリカを慰める。ヴイリーは太鼓叩きだが、作曲家になりたい。近く行われるフランツ・ヨーゼフ皇帝のご来臨のもとの“春のパレード”のために作曲した歌を、ウィーンで今、一番人気のあるオペレッタ歌手ハンジ・グルーバーに歌ってもらおう、とヤンチュ・オペレッタ劇場へ行くところだったのだ。奄通り「最初にぶつかった男は芸術家」。マリカはすっかりごきげん、M3「ヨイ・ママン」を歌う。ところがそこへ運悪く、ドイツ騎士団軍楽隊長ミッターマイヤーがやって来て、ヴィリーは絶体絶命、歌っているマリカに「いつか再会を」の書き置きを残し、ドロン。独り取り残されたマリカ。と、ベンチに盗まれた荷物が置いてあった。表通り「損もするが、すぐ埋め合わされる」。マリカはたちまち元気になり、M4「メロドラムとヨイ・ママン」を歌い、『いつかあの人に逢える、それが運命、私はきっと自分の運命を自分で切り拓いてみせる!』と力強くウィーンの町へ歩き出す。

 

第二場 ヤンチュ劇場、ハンジの楽屋

ヤンチュ劇場の舞台ではM5「チヤールターシュ」が華やかに激しく踊られている。ハンジの楽屋。貴族でドイツ騎士団のグストル中尉は、プラハに駐屯中、巡業に来たオペレッタ歌手のハンジ・グルーバーと恋に落ちる。グストルはハンジがウィーンヘ戻ったのを追って、叔父の宮内庁長官フォン・ラウテ

 

 

 

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