うことです。そういう人たちとゴミの問題、環境の問題がどうしてうまくつながらないのだろうかということが大きな課題としてあるのではないでしようか。
サンフランシスコのベイトレイル・プロジェクトの活動について、参考にさせていただきたい点があります。その一つ目は、市民が自分たちの意向を反映するために直接手紙を書き、運動をし、意思決定するところにダイレクトにアクセスし、意思を伝えていることです。もっとコミュニケーションのチャンネル・パイプがうまく機能するよう、つながる仕組みを提示することによって、関わりたいと思っている多くの人たちの気持ちや可能性をもっと海辺に、また「なぎさ海道」に引き寄せることができるのではないでしょうか。
二つ目に、関わるという形には多様なものがあってしかるべきでしよう。それぞれの地域にとって、海との関わり、海との付き合い方は違い、環境条件も違います。安全性に関しても、地域住民がどのようにその問題を捉え、考え、意思決定できるか、そういう仕組みがあってもいいのではないか。ある所はガードレールが無くても大丈夫といったそれぞれの地域で環境や文化、暮らし方も含めたローカル・スタンダードが設けられてもいいのではないか。問題はそういうことを制度的・持続的に行う良いリーダーシップがとれる地方自治体、組織、人をどのような形で見つけ出し、応援していけるのか。そこに市民が海に近づくための大きなポイントがあるような気がします。
川端 社会的に関わりたい人がいるにも拘わらず、そのための舞台が設定されていない。チャンネルが細い。その週が問題だというご指摘。ローカル・スタンダードとして、それぞれが権利と責任を共に持つべきであるというお話でした。ピンガーさんに、今のお二人のお話もお聞きになって、ご意見がございましたらお願いします。
ビンガー 今、お話しいただいたことに関して二つだけコメントさせていただきます。第一に細田先生からリサーチの結果を示していただきました。いかに汚染が進んでいるか。非常にショッキングだったと思います。あの状態は私たちがカリフォルニアで経験したのと同じでして、ああいう状況があったからこそサンフランシスコ湾保全開発委員会(BCDC)という組織ができたのです。ああいう情報を活用していくことが必要でしよう。
また、橋本さんのお話から、住民にそういう意思があってもなかなか反映される場が無い、システムが無い。我々のところでも最初そのような状況でした。その後、メディア、新聞とかテレビを活用して、意思が反映されたり、情報が伝えられるようになりました。
川端 「なぎさ海道」は、色々なインタレストグループ、関係者が一緒になってやらないといけない。ハード的な整備が済めば、はい、お終いというプロジェクトではありません。ハード的な整備が進むにつれ、色々な人たち、男性、女性、高齢者、若い人、子供、また、例えば、釣りをやっている方、サーフィンをやっている人たち、スポーツを楽しむ人たち、そういう人たちが、どうやってなぎさで楽しむか。そういう要素がないと先に進まないでしょう。