?情報通信基盤の整備状況
次に、それぞれの情報通信基盤について整備状況を概観する。
わが国においては、基本的には各家庭まで光ファイバを敷設するFTTH(ファイバ・トゥ・ザ・ホーム)が目標とされ、各省庁、NTTなどの電気通信事業者が整備を推進している。また、近年の技術の進展に伴い、災害時のバックアップ回線など光ファイバ網を補完したり、光ファイバが整備されるまでの過渡的な通信基盤としての役割を担うものとして、ケーブルテレビ網、無線をはじめとするさまざまな情報通信基盤整備が進展している。
ア)幹線網
■有線系
幹線網については、光ファイバの敷設がかなりのカバー率で進展している。1994年度末において、わが国には約28万km(ケーブル長)の光ファイバが敷設されており、その約1/2を占めるNTTにおいては、幹線網の光化はほぼ100%に近づいている。
その他、長距離系、地域系を合わせて光ファイバの約3/4が第一種電気通信事業者によって整備されているが、現状そのほとんどは幹線網として機能している。
■無線系
回線の安定性、容量などの制約から、主幹線として無線を活用する可能性は低いが、非常時のバックボーン回線などとして、幹線網に無線を活用する実験が開始されている。
イ)加入者網
■有線系
加入者が自宅、企業などのある定点からネットワークにアクセスする固定系ネットワークとしては、電話線などの公衆通信回線と、本来は放送用通信基盤として整備されたが、近年の技術進歩によって双方向のデータ通信利用が可能となりつつあるケーブルテレビ網がある。
《公衆通信回線》
・電話線(メタル線)
本来はコンピュータなどのデータ通信用に整備された回線ではないため、データ容量に限界がある、専用線型の利用料金が高額であるなどの問題があるが、全国に既設されており、現状では加入者網として広く活用されている。
・光ファイバ
前述したように、光ファイバはマルチメディア時代の通信基盤として欠くことのできないインフラであり、2010年を目標として各家庭まで光ファイバを敷設するFTTH(ファイバ・トゥ・ザ・ホーム)構想が推進されている。
※xD3L
既存の電話線を使って、大容量(1.5M〜12Mbps)の情報を送り込める通信技術とし て注目されている。上りと下りの伝送速度が異なり、一方向には画像等大容量の情報を、逆方向では指示信号などの情報量の少ないデータを取り扱う。このサービスを受 けるためには家庭・電話局ともにxDSLモデムが必要であり、これまでモデムが非常に高額であったことが普及のネックのひとつとなっていたが、近年実用化レベルまで値段が低下しつつあり、アメリカ、シンガポール等で実用化実験が計画されている。世界の動きを受けわが国においても、97年年明け頃から、にわかに注目を集めている。