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第3節 観光地としての問題点と課題

魅力ある滞在型観光ルートの設定と航路利便性向上が観光活性化のカギ

 

甑島を訪れる観光客がピークを迎えるのは、1年のうち夏期に集中し、海と自然を満喫する海洋性レジャーを目的とした層やのんびりリラックスするための観光客でにぎわう。

しかし、この観光客も近年伸び悩みを見せており、旅客輸送全体でも、平成8年までは順調な伸びを示しているものの、平成9年では、折しもの台風で航路の欠航と相俟って、前年比でマイナスとなっている。

甑島を訪れる観光客の滞在日数は、アンケート調査の結果から「2泊3日」または「1泊2日」が主流である。しかし、観光客が支持する観光スポットをあげてもらったところ、「長目の浜(なまこ池を含む)」が70%以上ともっとも多く、2番目に支持を得た「ナポレオン岩」は20%強と、「長目の浜」だけに回答が集中しており、それ以外の魅力ある観光スポットが乏しい。

また、甑島に必要な観光・レジャー施設としてもっとも多かったのは「温泉」、次に「地域物産館」である。来島の目的も「のんびりするため」が多かったことから考慮すると、2泊3日の滞在にふさわしい観光ルートの設定と観光客の望む観光施設(温泉や地域物産館、宿泊施設など)の整備が必要である。

かといって、観光客は甑島に対して魅力がないわけではなく、甑島に魅力を感じる層は50%強、甑島への定住意向も賛否は分かれたものの、定住したいという層は30%にのぼっている。

観光地としての甑島のポテンシャルは潜在的なものも含めて非常に高いものと考えられ、甑島がもつ特性(自然)を活かし、特に昨今のマリーナを中心とした海洋性レジャーブームに便乗し、スポーツ、フィッシング、リゾートなどを含めた本格的海洋性リゾートの検討も一考に値する。

甑島には「きんしゅう」「かのこ」「おとひめ」の3隻の遊覧船が就航している。これらの遊覧船利用者数は就航時からは除々に伸びつつあるが(「きんしゅう」については平成9年4月就航のため推移は比較できない)、平成9年では「かのこ」「おとひめ」の利用者数は、台風が影響して前年の半数以下である。遊覧船を観光の吸引力アップに効果的につなげるため、今後、遊覧船の運航コースの見直しと甑島4村が一体となって行うこと等により、魅力ある滞在型観光ルートの確立を図ることが必要である。

なお、観光客が考える甑島の問題は観光施設やルートだけではなく、「交通手段の便数が少ない」ことや「島内交通の便が悪い」ことなどがあげられている。

つまり利用者の利便性の向上が利用頻度を高め、観光地としての甑島の活性化、引いては航路の活性化に連鎖すると考えられる。甑島においては、航路と観光の活性化は、一重に利便性の向上に収れんされるといっても過言ではないだろう。

 

 

 

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