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第4節 現行の旅客輸送の問題点と課題

(1)本土での十分な滞留時間を確保したダイヤの設定

利用者アンケート等でみられるように、現行の旅客航路に対する不満点は、「便数」の少なさである。

現行のダイヤでは、島発の第1便に乗船すると、串木野到着が高速船の場合11時25分であり、フェリーの場合では12時05分である。逆に串木野発の最終便はフェリーが13時00分、高速船で11時55分である。つまり、最長の滞留時間が1時間35分となり、串木野市内での所用を済ませる時間が短すぎ、ましてや鹿児島市の場合は日帰りが不可能である。

(2)便数の矮小性への対策

現行の「便数」の矮小性を解消するための対策としては種々の考え方はあるものの、近い将来を見通しての現実的な案としては、現在実施されている島内6港寄港を改め、寄港地の集約化によって、一航路の所要時間の短縮化を図り、これによって便数の増加を図っていく方法が最善策であろう。

(3)航路利用者実績からの問題

平成8年の各港の乗降客数は、里港で78,630人、平成3年からの推移をみると、3.6%の伸び、中甑港(平成8年乗降客数:37,090人、平成3年からの伸び率:-2.7%)、平良港(同:5,024人、同:-9.0%)、鹿島港(同:25,306人、同:0.1%)、長浜港(同:38,704人、同:1.4%)、手打港(同:29,250人、同:2.6%)となっており、甑島航路全体では(同:223,002人、同:1.9%)と、5年間で微増である。

乗降客の実績からは、中甑港、平良港はマイナスの伸びを示しており、特に平良港については、乗降客の減少が大きい。

確かに6港寄港は少ない船舶で多くの寄港地にサービスを提供できるというメリットはあり、また各集落間の連絡を併せて兼ねるという意味でも重要である。

しかし、平成8年の利用者実績をみると、総利用者数の202,339人のうち94%の190,670人は串木野と甑島間の利用者であり、島内間の利用者はわずか5.8%の11,670人にすぎない。

島内道路が未整備で、それぞれの港への寄港が不可欠であった時代から、近年のように島内道路の整備が進展している状況からすれば、寄港地の集約を真剣に検討すべき時期にきている。

(4)フェリー「こしき」のリプレースと寄港地集約化問題

本航路は4村にまたがる地域を結んでいる。そして島内人口は平成9年では7,700人程度であり、年々減少の一途をたどっている。

このような厳しい環境の中で、関係各自治体の意向を配慮しつつ、それぞれの自治体に不平等のないようバランスを取りながら事業計画を策定し、運営せざるを得ないといういうのが航路事業者側のおかれている現状である。このため、効率的な航路体系の編成が事実上困難であったというべきであろう。

 

 

 

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