第2節航路における問題点と課題
利用者の利便性に配慮した効率的運航体系の整備が必要
串木野-甑島航路には、現在フェリー「こしき」が1日1往復、高速船「シーホーク」が1日2往復の2隻が就航し、甑島島民の生活航路であり観光客の「足」として位置づけられている。
旅客航路利用者アンケート調査をまとめた結果、利用者の65%は島外居住者、35%が島内居住者であり、利用目的は「観光・レジャー」や「商用・ビジネス」、「所用」、利用頻度は「今回初めて利用」や「月に1回程度」が多くを占めている。
なお、航路の問題点ではフェリー、高速船とも、「運航本数が少ない」という問題がクローズアップされ、フェリー63.7%、高速船62.1%と非常に多く、利用頻度が高い層や島民にこの傾向が強く表れている。また、2番目にフェリーでは「発着時間がよくない」、高速船では「運賃が高い」などがあげられている。
これらの問題点について、利用者が望む改善策はフェリー、高速船とも「増便」や「夕方便の設置」である。
運航便数が少ないことや発着時間がよくないことの背景には、フェリーが甑島各港に寄港することにより、効率的な運航体系が取れていないことがあげられる。
運航本数を増やすためには、まず利用者の利便性に配慮した効率的な運航体系の整備を図ることが必要となる。利用者の利便性に配慮した効率的な運航体系を考えるうえで、フェリーの大型化や高速船の増船など様々な方法はあるが、航路事業者の経営状態や採算性などからみて慎重な対応が要求される。このため、既存船舶で運航ダイヤの変更もしくは寄港地の再選定から、利用者の利便性を高めるよりよい運航体系を検討が重要視される。
また、昨今では、航路に限らず陸上交通や道路整備、さらには建築物にまで、バリアフリーに着目した、「弱者にやさしいハード整備」が重要視されている。
船舶も例外ではなく、既にいくつかの航路では身障者、高齢者、幼児連れの利用者に対する配慮を考えたモデル船の導入が検討されている。
甑島航路においても、島の高齢化や利用者に中高年層が多くあることを考慮すれば、船舶に限らず、待合室、可動橋等における弱者対策は、中長期的にみて必要であると考えられる。
このような船舶のハード、ソフト対策による利便性の向上が利用頻度を高め、航路の活性化につながるものと考えられる。