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第7章問題点と課題

第1節地域特性における問題点と課題

離島特有の人口、特に若年層の減少と産業全般の低迷が問題

 

甑島4村の平成5年から平成9年にかけての住民基本台帳人口の推移をみると、低迷もしくは減少傾向が目立つ。離島特有の人口減少、特に若年層人口の減少と過疎化、高齢化も甑島でも例外ではない。

労働力においても高年労働力の比率が全国、九州の値に比べ2倍と極めて高いことも、ひとえに過疎化から派生する離島特有の問題点である。

産業においても、農家全体に占める生産年齢男子がいる世帯比率が著しく低く、漁業も経営体数の減少、商業では商店数の減少、工業ではその成果を表す製造品出荷額の推移も低迷しているのが現状である。

離島の振興を考える場合、本土と島を結ぶ交通体系の脆弱さがその根底にあり、離島活性化にはこの交通体系整備が重要な位置づけとなる。

人口の減少、特に若年層の減少の背景には、全国的な少子化、核家族化などの問題があることは否めないが、甑島に義務教育施設、いわゆる中学校までしかなく、高等学校教育を受けるためには本土に渡らなければならず、島-本土間で通学が可能な交通体系が整備されていないこともあげられる。

さらに、本土と島を結ぶ交通体系だけでなく、島内陸上交通の脆弱さも、島内活性化を大きく阻害する要因の1つとしてあげられよう。

現在、甑島各港からの交通手段は、里港でレンタカーと上甑島バス企業団のバスが経由、及びタクシー会社1社とレンタサイクルがあり、中甑港では上甑島バス企業団のバスとタクシー会社1社、平良港は上甑島バス企業団のバス、長浜港、手打港では下甑村営バスとタクシー会社1社があるが、鹿島港は島内陸上交通手段がないのが現状である。

このように、島内陸上交通手段の脆弱さは、観光客の移動、島内住民の移動を阻害しており、全島一体となった島内陸上交通網の整備も大きな課題となっている。

また、人口流出をくい止める策や産業の振興策として、若年層対策や雇用問題に対する施策を重点的に考えることが必要と考えられる。

 

 

 

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