スパチャイ氏は、タイ経済が混乱している原因を「金融だけでなくマクロ経済の運営にある」と指摘した。「新しいグローバル経済は、より柔軟なマクロ経済の政策運営を要求している」との見解も示して、アジア各国の政府が、経済のグローバル化に慎重になっている現在の状況に不満を表明、「アジアにも経済協力開発機構(OECD)のような機関が必要ではないか」と具体策を示した。「アジア開発銀行(ADB)がそうした会議を主催し、マクロ経済政策を体系的に語りあい、協力分野を模索する場をつくりたい」というのが、スパチャイ氏の要望である。
スパチャイ氏が政策関連の機関を提唱する一方で、佐藤氏は、アジア各国の通貨の安定のために、日本政府が提案した「アジア通貨基金」のような存在が必要だと説いた。投機筋が動かすホットマネーが一日に500〜600億ドルなのに対し、「アジアの多くの国での外貨準備は200〜300億ドル」であることを示し、「市場の行き過ぎた相場変動に共同介入する資金にしたり、緊急の外貨準備の補充にあてたりすることは意味のあることだ」とアジア通貨基金の必要性を強調した。