会議の後半は、佐藤氏の発言から始まった。佐藤氏はアジア経済が通貨危機に見舞われた最大の要因として「経済の国際化がもたらす変化に対して、アジア諸国のマクロ経済・金融政策が十分に対応できるものではなかったこと」をあげた。しかし、現在の不十分な経済政策の状況を指摘しながらも、アジア経済の今後についてはむしろ肯定的に「80年代半ばの不況を乗り切ったアジア経済の柔軟性を考えれば、その将来性について楽観できるだろう」との見解を示した。
その上で佐藤氏は、今後のアジア経済の課題として、?@インフラ整備や環境問題への取り組み、?A人材育成と生産性の向上を図ること、を提言した。
一方、西田氏は、日本がODA(政府開発援助)の60%をアジアに振り分けてきたから、民間投資がアジアの環境整備へと向かい、民間活力を生み出したとの見解を示し、今後のODAは「量から質への転換が必要だ」と述べた。
アジア諸国には、日本のODAの削減を懸念する声がある。そのような声に対して、西田氏は「ASEANの中には大きな経済格差がある。発展に応じたきめ細かい対応を進め、民間資本との連携が重要になってくる」として、より効率的なODAを行う予定があることを伝え、同時に開発に民間資本が参加することの重要性を示した。
こうした開発・整備プロジェクトについて、ワン氏はひとつの問題を提起した。ベトナムにも通貨危機の影響が及んでいるのは「ベトナム経済が域内経済に統合されてきたため」であるから、これを教訓にして「大型プロジェクトの見直し」を求めたのだ。
ワン氏は「中小の投資に集中すれば、投資の回収期間は短くてすみ、輸出余力も生じる」と述べ、今後のアジ