外資の導入と輸出促進によって経済成長を続けてきたアジア経済が、転換期にさしかかっている。1997年のタイの通貨不安に代表されるように、現在、東南アジア諸国は、外資の過剰な導入と輸出の不振のために、大幅な赤字を抱え込むこととなった。
大河原議長は(まず、アジア各国の経済の状態と、この転換期におけるアジア経済の課題は何か、についての意見を求めた。
アジアの中でもASEAN諸国とはちがう成長をとげてきた中国の高氏は、96年の国内総生産の伸び率が中国国内で12.1%(世界平均は2%)に達したことを挙げ、今後は「世界経済の牽引力として経済協力の拡大を目指していく」と、経済活動についての自信を語った。
中国の過去20年間の経済政策は、主に「経済の開放」と「特にアジア太平洋地域諸国との協力」である。高氏は「今後も、平等、互恵、開放、共栄の原則に基づいて」経済協力を拡大していく方針であることを述べた。
ワン氏は、ベトナムの70年代以降の経済的困難と、85年の物価や賃金の調整政策が大幅なインフレを引き起こした歴史について語った後、「ベトナムは現在、市場経済を導入し、開放政策なども実施しているため、中央統制経済から脱却しつつある」と述べた。
ベトナム経済の現在をつくり上げた主要因として、ワン氏は「農業部門での国営企業の改革」を挙げた。これにより「規制が撤廃され、一次産品に依存していた経済、産業構造を多様化した」という。
スパチャイ氏は、アジア経済全体を見据えた上で(転換期の経済を左右する7つの要因を指摘した。国内的な要因としては、?@人口動態や生産構造の変化、?A金融制度改革、?B規制緩和、?C環境問題への対処など。国際的要因としては、?D国際化の進行、?E貿易・投資の自由化、?F地域経済協力など、を挙げた。そして、これらの課題