(2)オフラインで作成したデータによる比較
(a)模擬列車走行データ作成
設定項目は以下の8項目からなる。
?@進入時刻:1本目を0とし、2本目以降は前の列車との時間差。
?A初速度
?B最高速度
?C列車種別
?D駅停車時間
?E構内作業の有無:「有」にした場合、踏切前方の駅で入換作業のための列車が出発信号機の内方に在線している状態となる。
?F側線進入の有無:「有」にした場合、列車が踏切前方の駅の待避線に進入する。(実際の駅には待避線がないが、本試作のシミュレーション用に設けた。)
?G軌道故障の有無:「有」にした場合、図5.3-2の86AF5が列車通過後でも落下のままになる。
設定画面を図5.3-6に示す。
(b)試験方法、試験結果
模擬列車走行データを数パターン作成し、各パターンごとに走行シミュレーションを行い比較する。比較対象は警報時間(警報開始してから、列車が踏切に到達するまでの時間)とする。
作成するデータパターンは次の7パターンとした。
?@ 加速走行
?A 減速走行
?B 等速走行
?C ダンゴ状態
?D 信号現示に応じた最高速度よりもかなり遅い速度で走行する
?E 踏切前方の駅構内で入換作業がある
?F 先行列車が待避線に進入する
各パターンの列車走行データとシミュレーション結果を表5.3-2に、模擬列車情報発生装置上での再生画面例を図5.3-7に、列車走行曲線(表5.3-2の列車6)を図5.3-8に示す。
いずれも警報時間短縮が行われ、本試作方式の有効性が確認できた。なお、表の中で「現行方式の警報時間」から「試作方式の警報時間」を引いた時間と「警報開始の時間差」が等しくないところがある。これは試作方式側では現示抑止出力を行っており、現行方式側よりも列車が遅く走行し、踏切到達時間がずれるためである。
図5.3-8の列車走行曲線より、この列車の場合には現示抑止がかかっても列車の運行に影響しないことがわかる。