5.3 総合動作試験
5.3.1 現地データ収集確認試験
(1) 試験方法
現地で収集したデータを模擬列車情報発生装置に記録し、変化情報を印字出力する。
(2) 試験結果
印字出力の結果より、データ収集が正常に行えたことが確認できた。
印字出力(一部)を表5.3-1に、モデル線区の線形を図5.3-1に示す。
5.3.2 通常の列車走行模擬試験
(1) 試験方法
現地で収集したデータを模擬列車情報発生装置に記録し、再生する。踏切制御方式は現行方式(列車種別を用いた連続軌道回路方式)による。
(2) 試験結果
模擬列車情報発生装置の画面上で、列車の動きに合わせて軌道回路、踏切制御、信号現示が変化することが確認できた。再生画面を図5.3-2に示す。
5.3.3 列車走行と警報時間の短縮試験
各試作装置を接続して走行シミュレーションを行い、現行方式と試作方式を比較する。比較は現地収集データとオフラインで作成したデータで行う。
(1) 現地収集データによる比較
(a)試験方法
1日分の現地収集データを模擬列車情報発生装置に記録し、走行シミュレーションを行う。比較対象は鳴動時間(警報開始してから列車が踏切を完全に通過するまでの時間)、開扉時間、開扉回数とする。
(b)試験結果
図5.3-3に鳴動時間のグラフを、図5.3-4に時間別開扉時間のグラフを、図5.3-5に時間別開扉回数のグラフを示す。
鳴動時間については現行方式に比べて長時間鳴動となる割合が少なくなっており、試作方式の有効性を示している。しかし、警報時間短縮という目的は確認されたものの、まだ長時間鳴動となるケースがわずかであるが見られた。これは現示抑止時の低速走行が原因となっている。(本試作方式では現示抑止解除時期が鳴動停止時であるため、列車が踏切道に到達した後、通過し終わるまで低速走行する。)従って、踏切道到達時の条件が採れれば解決できる問題と考えている。
開扉時間については全体的に現行方式よりも長くなっていて、試作方式の効果が現れているが、とくに列車間隔の詰まっている朝夕のラッシュ時間帯に顕著である。
開扉回数については開扉時間に比べると差が少ないが、それでも朝夕のラッシュ時間帯には回数が増えている。その他の時間帯に差がないのは、列車間隔がラッシュ時間帯ほど密ではないためである。