1.5 開発の効用
本事業で開発した「踏切制御システム」により、列車密度の高いラッシュ時間帯において顕著に遮断時間が短縮されることが確認された。したがって、次の効果が期待できる。
(1) 公益性
高密度運転に伴う踏切遮断時間の長大化は憂慮されており、本試作で開発した遮断開始時期決定手法は、高密度運転における踏切遮断時間短縮、踏切開扉回数の増加を可能とするため、踏切阻害のほとんどを占めると言われている遮断桿折損の減少にもつながり、公益性に大きく貢献すると考えられる。
(2) 実用性
踏切制御アルゴリズムを明確にして、高級言語を使用し、移植性の高いソフトウェアを開発したので、安全性が確認されている現用のハードウェアに移植して動作させることが可能である。
また、列車進行方向指示器が従来のものと交換できるサイズで情報量を増したので、新しくポールを立てる必要もなく、実用性があると考えられる。
(3) 経済性
新たに速度検知器を設置せず、軌道回路の情報を使って遮断時間短縮の効果が得られたので、経済的に効果があると考えられる。
高速伝送には光ケーブルを使用するという今までの概念にとらわれず、メタルによる伝送に取組み、実用上の見通しを得た。開発された技術を導入するならば、新しく光ケーブルをはらなくても踏切制御装置をメタルケーブルで結ぶことができるため経済性が期待できる。
(4) 事故防止
待つ時間のイライラを和らげる表示や、遮断時間の短縮および、開扉回数の増加となることから、踏切での無理な横断による事故の軽減に効果があると考えられる。