1.4 開発の成果
本事業で開発した試作装置について各種試験を行った結果、良好な成果が得られた。以下、成果の概要について述べる。
(1) 踏切制御アルゴリズム
広域列車運転状況をもとに先行列車の位置を把握し、先行列車および自列車の走行状態を、信号現示抑止を前提に実列車の運行に近づけて予測することにより、踏切遮断時間の短縮化を図るアルゴリズムを確立することができた。
現示抑止制御の導入が運行ダイヤに与える影響を調査した結果、調査した範囲では影響しないことが確認でき、提案する踏切遮断時間短縮化のアルゴリズムの有効性に明るい見通しを得た。
踏切遮断時間短縮化アルゴリズムの検証には、シミュレーション装置を用い、いろいろなパターンでの列車走行を実施しその有効性を確認することができた。
(2) 待たされる側に立った新しい表示器
目の前の列車が通過したら踏切は開くのか否か、人に優しい踏切として、イライラを少なくする列車接近状態を表示する表示器の製作を行った。
(3) 踏切制御システムの信頼性向上
ネットワークで接続したことで、個々の踏切制御装置の情報を別の踏切制御装置で把握できたので、踏切間で情報を補完することにより、列車検知器(軌道回路、踏切制御子など)故障時に無遮断をなくせる可能性が確認でき、また、遠隔からの回復指令を受けられることにより、警報持続をなくせる可能性が確認できた。
(4) 複数踏切のネットワーク化と広域情報の管理
メタルケーブルを使用した伝送器を導入し、ネットワークで接続された個々の踏切制御装置の動作監視、広域列車運転状況の把握、踏切異常時の遠隔回復など、情報管理と運用の可能性が確認できた。
以上に示したように本年度の研究により、新たな踏切遮断時間短縮化アルゴリズムを提案しその有効性を確認したほか、踏切を待つ人のイライラを和らげる新たな表示方法を提案することができた。