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北九州市

Kitakyusyu

 

利用して発電し、工場で自家消費の他、近隣の公共施設等にも供給するとともに、余剰電力は電力会社に売電している。1993年より缶・ビンの分別収集を開始し、1997年よりペットボトルの分別収集も開始した。非水洗化人口76,000人のし尿を計画収集し、下水道終末処理場で処理している。産業廃棄物の総発生量は8,276,000tで、は鉱滓(1.8%)、建設廃材(23.3%)、汚泥(23.3%)が多い。33.7%が有効利用されている。特に鉱滓などの再資源化率が高い。

◆今後の課題

これまでの取り組みにより、産業公害はほぼ沈静化しているが、今後は、自動車交通、エネルギー問題等の都市.生活型環境問題の対策が必要である。また、先端産業の進展や、生活様式の変化に伴い、様々な化学物質による新たな汚染への対応も必要になってくる。

北九州市では、都市自動車交通緩和のためのモノレールの建設、鉄道の新駅設置、バス専用レーンの設定などを行ってきた。今後、洞海湾の周囲の鉄道を結ぶ洞海湾環状鉄道の建設を計画しており、これによって大量交通輸送手段が強化される。また低公害車の導入推進など単体対策も推進している。

 

■環境保全に係る法制度

全国的に公害問題が多発する中、1967年公害対策基本法(現在、環境基本法)が制定された。この基本法を柱として、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、下水道法等が定められた。これら環境法令の権限は、都道府県及び政令指定都市に委譲され、工場.事業場への立ち入り権限などが与えられている。また、条例による上乗せ基準を設定するなど、より厳しい規制を行うことができる。工場には自主管理責任があり、行政も一方的規制だけでなく、技術指導や公害防止資金融資制度の導入などにより支援を行っている。

 

■持続可能な開発に関する経験

1)公害の克服

北九州市は、かつて四大工業地帯の一つとして発展し、.1960年代、急激な経済成長とともに、かつてない深刻な公害問題を経験した。北九州市のほぼ中央に位置し工場に囲まれた洞海湾は、閉鎖性海域であることに加え、工場からの未処理廃水や生活排水の流入により汚濁が進行し、1966年の調査では溶存酸素Omg/1、化学的酸素要求量36mg/1を記録し、「死の海」と呼ばれた。しかし、工場排水の規制や下水道の整備に合わせて湾内の堆積汚泥の浚渫除去を行った結果、100種以上の魚介類が生息するほどに回復した。この浚渫事業は行政(国、県、市)と企業が協力して行った。

また、大気についても、かつて108トン/月・k?uという日本一の降ばいじん量を記録し(洞海湾周辺の城山地区で、1965年、年平均80トン/月.k?u)、工場から出る煙は「七色の煙」と呼ばれたが、現在は環境庁から「星空の街」(1987)に選定されるほどに回復している。深刻な公害問題を克服すべく、市民、企業、研究機関及び行政が一体となった取り組みは、全国的に特徴あるものであったことから「北九州方式」と呼ばれた。まず、婦人団体が「青空が欲しい」のスローガンのもと、企業や行政に改善を求める積極的な運動を起こした。市は組織を整備し、公害防止条例を制定するなど公害防止対策を実施した。企業と「公害防止協定」を結び、

 

 

 

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