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を購入するかを選択しても良い。最初の二つの選択肢からの月々の退職後の支払は、20年間か、またはその金額および利子が使い果たされるまで継続される。しかし、年金からの収入は一生入手できる。第二番目、第二番目の選択肢は、CPF委員会よりも見返りが多いので評判がよい。

 

最低保障金額は、1987年30,000Sドルで始まった。1997年7月までにこの金額は50,000Sドルまで引き上げられた。そのうち少なくとも12,000Sドルは現金でなければならないが、残りの38,000Sドルは不動産を担保としても良い。この額は、2003年までに80,000Sドルになるまで毎年5,000Sドルずつ増額される。このうち、現金と不動産の金額は最終的に同額となる(表8)。最低金額の増加に加えて、60歳からの月々の退職後の収入も、1987年の230Sドルから1997年には383Sドルに増額された。これは、最終的には2003年までに613Sドルに引き上げられる。

 

高齢者の社会保障の形態としてのCPFには、明らかな利点がある。世代間の基金の移転に力を入れる日本の様な社会保障制度では、老年人口指数の増加は、退職者への年金の支払いが、勤労世代からの負担を上回った時に、釣り合いがとれなくなる。生産性・賃金・経済成長の鈍化の期間が長引くと、この状況は深刻になる。しかし、CPF制度への老年人口指数の影響は少ない。年代間の責任を強調し、会員は所得に基づき自身の個人勘定へ負担金を支払い、本質的に自分自身の退職後のために支払う、というものである。これに加えて、政府にとって、この制度で共同出資された貯蓄もまた、投資のための長期的な予想できるより多額の資金を供給することによって、国の成長を刺激する助けとなっている。しかし、制度が老後の保障への提供に効果的となるには、充分な水準にまで貯蓄が集まることが必要で、個人は長期間働き続ける必要がある。この様に、この制度は慎重で保守的なマクロ経済的な政策の支援を必要とし、予期しないインフレが貯蓄の真の価値に影響するかもしれないので、高い雇用率と低インフレ、賃金の急速な増加を提供する必要がある。長寿も制度に影響を与えている。CPFの負担率は平均寿命に基づいているので、長寿の人々は、医療費が多くかかる傾向もあり、晩年には貯蓄が不充分となるかもしれない。

 

 

 

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