アにおける、高齢者向け政策およびプログラムの総合的な議論を提示する。
(1) 社会保障
(a) 中央積立基金(CPF)
高齢者向け社会保障は、高所得の国のほとんどでは年金という形態を採っている。シンガポールの1996年の1人当たりの国民総生産(GNP)は26,264Sドルだったが、強制的な全国積立基金機構を財源とする高齢者社会保障という独特の制度を持っている。中央積立基金(CPF)と呼ばれるこの制度は、強制的な貯蓄制度で、雇用主と従業員の両方に毎月、負担を求めている。CPFが1955年最初にイギリス植民地政府により設立された時、負担金の割合の合計は10%で、これは雇用主と従業員が平等に分担した。この割合は徐々に増えて、1985年には50%と最高になった。景気後退から1986年にはこれが35%に減り、1991年からは40%に安定している。これは世界で最高水準の負担率であり、これにマレーシア(22%)、スリランカ(20%)が続いている。現在、CPFの会員は270万人で、合計72億である(CPF、1996)。シンガポールは、高負担率の結果、貯蓄率が世界最高の国家となった。
CPFは1995年に退職後の生活保障制度として発足したが、長年の間に、ほとんどのシンガポール人にとって重要な意味を持つ総合的社会保障制度に発展した。老後の保障という要求を満たすことに加えて、CPFには住宅・投資・医療・保険・大学ローンのプログラムも含まれている。CPFの負担金の40%は、基本的に次の形で三つの勘定に分配されている。(1)30ポイントは、住宅・投資・保険・教育・両親の退職勘定への加算に使われる普通勘定へ回される。(2)6ポイントは、入院およびその他の承認された医療への支出に回されるメディセーブ勘定である。(3)4ポイントは、高齢者用および臨時支出に回される特別勘定である。次では、高齢者のサポートに関連したCPFの幾つかの計画について紹介する。
(b) メディセーブ、メディシールド、メディシールドプラス、CPFトップアップ計画
● メディセーブ