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る調査の手段とするのに加えて、高齢者向けのサービスおよびプログラムの供給および提供の監視を行う調整機関とするという提案だった。

 

この年、共同体開発省の下に、高齢者全国諮問評議会の小委員会として、高齢者委員会が作られた。同委員会は高齢者諮問評議会の勧告の実施状況の監視、解決策の提案、高齢者向けサービスにおける欠陥を確認し変化を追い、1983年以降の高齢者に関する問題に対処するために、シンガポールの55歳以上の高齢者4,750人についての第二回全国調査(1995年)を実施した。また、高齢者に関係した問題を研究する、特定の目的を持った様々な委員会も設立された。例えば、退職年齢の引き上げの雇用主および労働者への影響を調査するための、公務員・雇用主・労働組合のリーダーによる三者委員会が設立された。最近の進展としては、高齢者ケアの基盤を強化する保健省下の高齢者サービス部門、およびYeo Chow Tong保健相率いる高齢者向けヘルスケアについての省間委員会が設立された。これらは、急速に高齢化する社会の課題に直面した政府が感じた緊急性を示している。

 

高齢者に関係した問題対策の継続的再検討は、高齢化の国家政策の進展に役立った。これはまた、過去に実行された政策が、高齢化過程の速度とその結果に影響し、もしかしたら、その直接的な原因ともなったという認識も反映している。今日、シンガポールの高齢化問題は、たくさんの国民の注目と論議を呼んでいる。高齢者の要求への対応という政府の努力は、国民および種々の部門を代表する様々の委員会からの要望を得て引き続き行われている。高齢化に対する国家政策では、高齢者ケアについては、高齢者自身・家庭・共同体・国家の共同責任とするべきであるという政府の立場を強化している。社会保障・福祉への国家支出は非常に少なく、1994年の社会保障・福祉への支出は総支出の3.06%で、これに比べて日本は36.8%、アメリカでは29.23%だった。政府は、断固として、福祉国家主義的政策はとらないことにしている。これは、現在の西側の福祉国家の直面している問題から理解できることである。しかし、社会の急速な変化は、家庭における高齢者ケアのに影響を与えた。家庭が家族にとって最良の社会保険となるという概念を維持するために、高齢化政策およびプログラムは、この様に家族のケアを支持し実証する上で、重要な役割を担っている。次に、社会保障・雇用・住宅および生活の手配、社会およびへルスケ

 

 

 

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