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査を実施した。これは、55歳以上の親族のいる世帯の5,538人に基づいた調査だった。調査結果は、1984年3月に発行された「高齢者問題の委員会の報告書」の基礎となった。この報告書は、通称「ハウ・レポート」と呼ばれているが、高齢者の社会貢献の可能性と高齢者を社会経済開発に組み込む一方で、同時に彼らの特別な要求を理解し対処していく事の重要性を強調している。この様に「ハウ・レポート」は、高齢者を単なる「問題」以上のものとして見ることで、高齢化の意味についての将来の認識の方向性を示している。この報告書は、様々な方策を勧告しており、その中には、高齢者向け積立基金の負担率の変更、高齢者向けの雇用の創出、所得税法の下での高齢者扶養控除の増額、家族および世代間の結束を深める措置などが含まれている。関係した省、法的部門、高等教育機関、非政府機関から選ばれた委員よりなるいくつかの委員会が、これらの勧告の実行のために設置された。

 

1988年、政府は高齢者諮問評議会を設置し、シンガポールの高齢化の現状の総合的な見直しを行った。これは、高齢化社会に向けた計画についての政府の重大な関心を反映している。同評議会は、内務大臣を長とし、四つの委員会を設置して特に懸念される問題の対処に当たらせた。それは、つまり、共同体に基づいたプログラム、高齢者への態度、ケア付き宿泊施設プログラム、高齢者向けの雇用等についてである。彼らの報告書は再検討され、1989年の高齢者諮問評議会報告書として、政府に提出された。1989年の報告書で提示された様々な勧告は、1983年の報告書と一致しており、多くは、既存の高齢者向け政策およびプログラムを強化するものだった。

これらの提案には、?高齢化および高齢者への肯定的な認識を生み出す一般教育プログラムの拡大、?慣習的な退職年齢55歳から60歳への引き上げ、?年功序列制度に基づいた賃金制度の調整による高齢労働者の継続的雇用の促進、?老人医学および看護学の事門性の強化、非常に身体の弱った高齢者および寝たきりの高齢者のために、訪問介護および医療サービスを提供し、彼らが共同体に住み続けることができる様にすること、?75歳以上の高齢者の扶養控除額の引き上げにより家で彼らの世話をする家庭の多額の費用を軽減すること、?高齢者の家庭用に公共住宅地に隣接した土地を確保すること、?有志により建てられた家の賃貸が含まれている。同評議会の重要な勧告の一つは、高齢化全国評議会を設立し、効果的なフィードバックおよび評価でき

 

 

 

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