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さらに、従来はすべて企業が負担していた入院医療費に関しても、上海市医療保険局は上海市政府の許可を得て、『上海市城鎮企業職員における入院医療保険臨時方法』を制定・公布し、入院適応対象、入院医療保険への登録と支払い、入院医療費の計算と支払い方法、医療保険基金の管理など詳しく規定し、1996年5月1日から実施するようになった。

この方法によれば、今後、固有企業の従業員の入院治療費は一定の額を越えると、統合的運用基金が大部分を負担するが、残りの額は企業と個人が一定の割合で分担することになる。これまでは企業がすべての医療費を負担する「労保医療」から統合的運用へ転換し、国家、企業、個人の3者が入院医療費を分担することとなった。

入院医療保険を、社会的統合的運用することは、相互救助の原則に立ち、基本的な医療サービスの供給を保障し、付せて費用の浪費を防ぐためである。企業はまず入院医療保険への登録手続きを行う前に、指定された機関による入院医療保険費の審査を受け、前月の在職職員総数の給料総額の4.5%の比率によりで、入院医療保険費を納める(第8条、第9条)。職員は毎回指定された病院で診療を受け、医療費が次の基準を超える場合、医療保険基金はその85%を支払う。

? 三級医療機関で入院治療を受け、医療費が2.500元を超える場合

? 二級医療機関で入院治療を受け、医療費が2.000元を超える場合

? 一級医療機関で入院治療を受け、医療費が1.500元を超える場合

職員は指定された医療機関での入院医療によって発生した医療費は、医療保険基金が支払う部分を除き、企業及び本人が共同で分担する(19条)。労働災害と職業病による入院費用が第19条の基準を超える場合、超えた部分の50%は医療保険基金から支払われ、残りは国の規定に従い、企業によって負担される(第20条)。

医療保険基金の財源は次の通り。

? 企業が負担する入院医療保険費(料)

? 医療保険基金の利息による収益

? 医療保険基金の投資運用による収益

? 本方法の第11条の規定に従い、徴収した滞納金

である(第28条)。

なお、市医療保険局は医療保険基金の徴収や支払いについて財政部門と審査部門の監査を受ける(第32条)。

 

現在医療改革はまだ終わっていない。医療保障制度改革の目標は、

 

 

 

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