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ここでいう養老保険とは、企業の従業員に定年退職後、物質的な基本生活を保障する制度のことであり、社会保険による保障を基本としている。改正された養老保険基金制度において、その原資は国家、企業、個人の3者が負担する。国家は、税制上の措置で一部の保険費用を負担し、企業と個人は給与総額に対して一定の割合でそれぞれ毎月社会保険機構に保険料を納める。被保険者が規定の納金年限及びその他の受給条件をみたした場合、社会保険専門機関から法律に基づいて、保険給付を受ける。

2) 改革の主な措置

? 個人負担の実施

個人負担の養老保険料には次のようなメリットがあると考えられている。1.個人負担によって、従業員の自己保障意識と責任感が高められ、老後はすべて政府に頼るという考え方を改めることができる。2.従業員個人が納めた養老保険料は養老基金の一部となり、基金の原資を増やし、国の負担を減らすことができる。3.老後生活の水準について保険料の個人負担の年限に結び付けて考えることができる。

改革の初期には、国有や集団所有の企業、役所、各事業部門に属する職員はすべて本人の前年の年収入の3%を養老保険料として負担する。以降は経済発展と昇給につれ、次第に保険料(比率)を引き上げることとなっている。

? 社会的統合的運用の拡大

国有、集団所有と外資投資企業については、全市の定年退職後の年金の統合的運用を従来通り継続する。役所、事業部門(中央機関の上海駐在科学研究所、文芸、教育、衛生などの事業部門を含む)の定年退職者年金は、退職時勤務先からの支給ではなく、社会的統合的運用よる社会保険専門機構の支給に変更された。城鎮個人経営の企業に勤める従業員、個人経営者及び協力者の年令もすべて全市の統合的運用のもとにおかれた。

? 個人口座の設定

従業員全員が終生不変の養老保険口座を持ち、個人負担分と会社負担の定年退職統合的運用費の一部がその口座に振り込まれ、累計して貯蓄される。改革初期には、個人の口座に振り込まれる養老金は(1)個

 

 

 

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