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? 浦東新区等の開発に合わせて

中央政府は上海市浦東新区を開発し、改革開放のスピードを引き上げ、他の地域より先に市場経済の運営システムを作ると共に、それに相応しい社会保障制度を完備させることを指示した。浦東新区には大量の国外と国内の資本が流入し、財産所有権の流動と新たな組み合わせに伴い、資産の所有が混合する企業が年々増えている。例えば、外国との合弁企業、他の都市との合弁企業、都市と農村の合弁企業、国有と集団所有の連携、個人経営、株式会社などいろいろである。また、経済と労働力市場の発展に伴い、省市の間、部門の間、異った所有形態の間の流動も益々多く見られるようになってきた。

そのため、他の地域の人々が長期的又は短期的な形で、上海市で仕事をするのも稀ではなくなった。多種多様の産業や事業分野で働く人々の就労移動も急増している。労働市場の需給動向によって人的資源が動き、配置されるという状況に適応できる養老保険制度の必要性が高まっているからである。

? 外国の事例の参考

養老社会保険をすでに運用している多くの国には、急速な人口高齢化の圧力で改革を試みている国もある。例えば、年金の給付額を引き下げるとか、企業や個人年金制を併用するとか、また個人が負担する法定養老保険料を引き上げるなどである。養老保険の積立基金制度を実行している国の中で、シンカポールの中央積立制度等は養老金の調達や貯蓄投資を増やす面では注目され、上海市は国際社会のこのような事例を参加に、上海に相応しい改革の方式を探ってきた。

 

このような背景と考察を経て、まず改革案の基本が決められ、改革案施案が制定された。改革案は市人民代表大会常務委員会の決定によって、この案を市民に議論してもらい、まず、260の異なる所有制の会社、企業において、約40万人の社員に対して、改革案を説明し、シミュレーションを示し、改善案についての意見を求めた。そして市人民代表大会常務委員会での再審議の後、3,000の会社で、約205万人の社員によって、さらに議論を重ねた。一般市民も改革の必要を認め、この案を実行しようという気運も高まり、1994年4月27日、上海市人民政府第63号令により、「上海市城鎮職良養老保険方法に関して」が制度化され、養老保険の改革が法的に整備された。

 

 

 

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