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管理委員会は積極的に高齢者を中心とする企業の設置を進めている。

それらの発展は早く、巨大な経済的利益をもたらした。1994年末で、高齢者企業は4,800以上にのぼり、生産額は38.74億元に達した。納税額と利益は2.9億元に及ぶ。この利益から全市の定年退職者1人当たり年に平均132元の補助を得ることが出来た。定年者管理委員会は高齢者企業から得た利益を敬老院や高齢者活動室や憩い場所と高齢者向けのマンションなどの高齢者福祉施設に使い、また高齢者の旅行、療養などの活動にも使っている。またそれらの高齢者企業は高齢者向けの事業に資金を提供している。市委員会、市役所の許可を得て、上海市老齢委員会が資金を集め、500室の客間がある3つ星クラスのホテルを建て、営業による利益の一部を高齢者の活動に還元している。

(4) 「老有所学」(生涯学習)

「老有所学」は、高齢者が自分の健康保持や発展を図ろうとするとき、各種の知識を獲得する機会が保障されることを指す。上海市の高齢者教育システムは1985年から始められたのである。それは高齢化の進行につれ、急速な発展が図られた。1995年末の上海市老齢委員会の資料によると、市側が主催している高齢者大学は、老幹部大学、老年大学、定年退職者大学と老齢大学の4校であり、生徒は併せて4,954人である。その他の高齢者大学及び分校は56校で生徒は9,386人である。街道や郷鎮が運営している高齢者大学と分校は1,656校で生徒数は12.5万人にも達している。そのほかに、各種の講座や読書会などが開かれ、高齢者の歓迎を受けている。

高齢者教育を開催するねらいについて各学校それぞれの説明は違うが、主な方針はほぼ同じである。それは高齢者の心身の健康を目指し、精神的な欲求を十分に満たし、学習活動の中で楽しさを味わうことが出来るようにすることである。

1995年11月から、上海教育テレビが「空中老年大学」という番組をはじめ、その視聴者は19.1万人に達する。

1997年10月には21世紀老年問題国際シンポジウムが開催されたが、日本など全世界から参加者があり、国際交流が促進された。

(5) 「老有所楽」(趣味・娯楽)

「老有所楽」は、各種の文化、芸能活動の参加によって、精神的な充実感が得られることを指す。上海市の高齢者の余暇生活を豊かにす

 

 

 

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