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(2) 「老有所医」(医療)

「老有所医」は、高齢者に対する疾患の予防や治療、健康回復などの面で保障が与えられ、必要な処遇を受けられることを指す。上海市においては市区部と農村部とそれぞれ違う医療制度で実施されている。市区部で医療保険の給付を受けている高齢者の比率は55.2%であり、さらに12.9%の高齢者が医療保険によって半額の給付を受けている。農村部では合作医療(注:合作医療は、農村地域で形成された医療保険制度である。合作医療の基金は集団の出資、集団と個人の共同の出資、個人の出資の3種類であるが、その対象は主に農村合作医療に参加している農民である。)を受けている人は23.6%である。多くの総合病院が老年病外来や70歳以上の高齢患者に受付、診療、調剤について優先的に処理(「三優先」)している。地段病院(町の地域病院)、街道の衛生站(注射や傷の手当だけをするところ)では高齢者への問診と医療知識に関する問い合わせサービスを提供する。

 

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1995年の統計によると、上海市には高齢者病院は33ヵ所、高齢者介護院22ヵ所、高齢者外来75ヵ所、高齢者家庭ベッド(在宅病床)1.2万床がある。

1994年から、各区、街道は相次いで高齢者向けの慈善病院、特別貧困高齢者向けの無料外来診療所を設置し、高齢者特に貧困高齢者の診療問題は大きく改善された。

高齢者の健康を促進するために、高齢者体育組織が各種の体育運動を展開し、1,743個の高齢者運動体が成立し、参加者は44.6万人に達した。しかも毎年、定期的に高齢者運動会を開催し、健康高齢者を選抜する活動も行っている。

(3) 「老有所為」(社会参加)

「老有所為」は、高齢者の体力、専門知識、趣味により、定年退職後も引き続きそれらを生かし、社会に貢献することを指す。上海市の定年退職者の中で、高度な知識や技術をもつ者や、管理の才能や特殊の技をもつ高齢者は約50万人で、高齢者総人口の32.1%を占める。定年退職者のうち再就職し、社会参加を維持する人々の数は60万人にのぼり、高齢者が授業員の半分以上を占める高齢者企業に再就職した者は20万人あまりである。

高齢者のもつ技能や意欲を発揮させるために、上海市の各定年退職

 

 

 

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