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(1) 「老有所養」(扶養)

「老有所養」は、高齢者が物質的と精神的の両面で基本的な保障が得られることを指す。ここには経済収入保障、日常生活の世話、精神的な慰めという3つの面が含まれる。1994年6月に上海市市区部は『上海市城鎮職員養老保険方法Jを実施し、在職の人々に基本的老後保険、勤め先補充老後保険と現役個人貯蓄老後保険を三者平行の形で始めた。そして定年退職者にはインフレによる物価の高騰に対応した物価手当制度を設け、ある程度物価の高騰による衝撃を減らす措置をとり、高齢者の基本的生活を保障する。

 

1996年に農村部にも『上海市農村社会養老保険弁法』を実施し、農村養老保険に参加した人数は84万人に達し、農村人口の63%を占め、養老保険を受けている人数は12万人に達している。と同時に、農村部では『家庭扶養協議書』を規子間で結び、子どもによる老親扶養を具体化している。

特別貧困な高齢者や子どものいない高齢者のために「特別貧困老人救済基金」を設立し、1993年から最低生活保障ライン以下の高齢者、低収入又は無収入の高齢者に救済を行っている。

以上の2つの制度は、20年以上も継続した旧来の制度を改めたものであり、今後の高齢化の進行に対する具体策である。

 

この数年、上海市の高齢者事業にも新たな発展があった。上海市老齢委員会の統計によると、1995年末で全市には高齢者マンション13カ所、福利院15カ所、敬老院326カ所、托老所177カ所、家庭敬老室1,488カ所があり、これらの施設の有するベッド数は併せて12,088床である。

市側の指示に従って、各街道(町)には、ほぼ全部「社区サービス・センター」(地域サービス)と市民会館を設立し、高齢者にいろいろなサービスを提供し、一部の街道には24時間の救助電話を設けている。1995年末で、上海市では組織された「老年包護組」(二人以上のグループで要介護高齢者の日常生活の手助けを相互に契めた内容に従って務める。)は9,356組、「老年互助組」(助け合うカップル)6,692組、高齢者にサービスを提供する志願隊38,897隊があり、高齢者、特に後期高齢者、疾患によって生活の自立のできない高齢者にいろいろなサービスを提供する体制をつくっている。

 

 

 

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