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人)という親族関係が形成され、今後の十年後以降は「一人っ子」の老親の扶養問題が一層深刻になり、今まで続いてきた伝統的家庭扶養の機能が弱まり、高齢者の介護問題も個人では解決しがたいものになってくる。

したがって、社会全体の負担、社会的サービスの必要性もますます大きくなってくる。1991年〜1994年の数年の間、定年退職者の医療保険費用は1人当たり年平均の624元から1,445元に増大したが、今後はさらに高齢者の医療費や介護サービスに必要な社会費用は一層増大するものと思われる。

 

2. 国の高齢者対策の基本的考え方

 

中国の高齢者対策の全国的基本的方針は、5つの「老有」と呼ばれるスローガンにある。

1996年に制定された「中華人民共和国老年人権益保障法」第3条は次のように規定している。「国家と社会はあらゆる措置を取り、高齢者の社会保障制度を整備し、次第に高齢者の生活、健康、及び社会発扶養、医療、社会参与、障害学習、娯楽を実現する」。経済発展によって、全国大多数の人々の生活水準は向上しているが、歴史的、地理的条件と自然条件の制限によって、都市と農生し、「扶養」の水準もかなり異なる。

 

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1950年代以来、国家機関、国有企業、集団企業、事業部門の職員に対して、国と集団企業が養老、医療、住宅をすべて保障し、提供して身寄りのない高齢者には技術と社会福祉施設による扶養を行って来た。農村では、高齢者は主に集団経済組織と子女によって扶養されていたが、労働の能力を喪失し、身寄りのない高齢者には衣、食、住、医療と葬儀の五つの保障制度(五保)が設けられていた。この数年全国各地では高齢者に対する制度の整備や改革を盛んに行っているが、上海市では中央政府の方針につけ加えて、人口高齢化が社会に及ぼす影響を解決するために、次のような対応措置を取って来た。

 

 

 

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