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事情でも先進的であり、全中国の中で最も高齢化が進んでいる。したがって、増加する高齢人口に対する社会的対応や対策が経済の開発、発展と併せて進められなければならない。とくに高齢者の生活や健康の保障は高齢化社会の基本的対策として重要である。

 

この40数年の間に、上海市の人口は高出生率、高死亡率から超低出生率、低死亡率へと変化した。既に70年代の末には高齢化社会に突入し、以来高齢者人口は今も年々増加している。1995年末の60歳以上(注)の高齢人口は約227万人、上海市総人口の約17.4%であり、65歳以上の人口も総人口の11.5%を占め、全国の一位となっている。全国規模では日本より30年遅れて高齢化が進んでいる中国であるが、上海市は、中国全体より20年も先行しており、日本の「東京並み」の人口高齢化が進んでいる。

しかも推計によると、21世紀の2030年代まで、人口高齢化は上昇すると予測されており、2030年代には60歳以上の高齢人口が460万人となり、総人口に占める割合は34%、65歳以上人口では380万人で26%となることが予想されている。

 

このような社会状況のなかで上海市は、いかに高齢者の権利、利益を守るかに取り組んでいる。1996年8月29日に第8回今回人民代表大会第21次会議で、「中華人民共和国老年人権益保障法」(以下「老年人権益保障法」という)が通過し、同年10月1日より、実行されることになった。これは中国の最初の高齢者の権利を保障する法律であり、高齢者の利益を守る盾であり、高齢者事業を発展させる強い味方でもあると言われている。

上海市の人口増減には伝統的な社会の影響もあれば、政府の政策によることも非常に大きい。

 

(注)「老年人権益保障法」の第2条によれば、「老年人とは60歳以上の公民のことをいう」とされている。60歳以上の人を高齢者と称する理由は3つある。?国によって、予想される平均寿命には差異があるが、中国はすでに平均寿命は70歳に達している。60歳以降は視力、聴力、及び他の器官が衰えるため、継続的に重労働や精密な仕事を続けられないので、60歳を境にした。?定年退職の年齢として、大多数の人にとって60歳は仕事をやめ、養老年金を受ける年齢である。?国際的に通用する基準を参考にしたもの

 

 

 

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