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に達していた。そのため、上海市には、土地開発の資金もなく、住宅、道路事情の改善も図られなかったのである。1988年に中央政府は、上海市は年に105億元を中央政府に納めれば、残りは上海市の発展に自由に使えるような特別な措置をとるようになった。上海市はようやく都市開発、経済発展により多くの資金の投入ができる機会を得たのである。1995年の上海市の総生産は約2,463億元となり、税収は約600億元であり、その約三分の一は上海市の財政投資に当てている。1994年に、中央政府は分税制度を設けたが、それによって地方税および中央と地方が共有する分割税が制度化された。最近、上海市が目覚ましい経済発展を遂げたのは、上海市の地方税が増えていることと、外国企業が上海市に多く投資しているからである。改革開放以来、上海市は一連の外資誘致の規程を定め、また、上海市外資投資工作委員会を設けるなど、外資誘導のためのよい環境づくりに努めている。

 

上海市は国際経済主要都市になるために、2000年までに達成しようとするいわゆる「6つの基本的形成」という目標を制定した。それは、?世界の大都市が有する経済規模と総合的実力の形成。?世界一流レベルの主要都市が有するシステムの形成。?国内外の幅広い経済交流方式の形成。?国際的にも通用する規則的市場経1斉の運営システムの形成。?現代化国際都市にふさわしい基本的施設の構造の形成。?人間の全面的発展を中心とする社会発展システムと、人間と自然の生態バランスを促進する環境の形成である。

それを実現するための上海市の基本的方針は、部小平の「中国の特色のある社会主義理論と党の基本路線」に従い、全面的に「チャンスを細み、改革を深め、開放の度を広げ、発展を促し、安定を保つ」という路線を徹底させることである。さらに中国の特色や、この時代の特徴を生かした大都市の発展の新しい道を探りながら、これまでの計画経済体制を市場経済体制へと転換させ、世界に向けての都市機能を一層広げ、揚子江流域の経済共栄圏を率い動かし、上海市の「1つの龍頭と3つの中心」(青巨頭とは中国語では先頭に立つこと、3つの中心とは経済、貿易、金融の中心である)の土台を築き上げようとしている一大戦略である。また、上海市は浦東(黄浦江の東側)と浦西(黄浦江の西側)に、それぞれ金融貿易区、輸出加工区、経済開発区、ハイテク開発区などを設け、一層の国際化を目指している。

このように都市化、国際化が進む上海市だが、同時に上海市は人口

 

 

 

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