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?. 上海市の高齢化社会変化とその対応

 

はじめに

 

人口高齢化は21世紀の中国重大な社会問題であり、国際社会からも注目されている問題でもある。中国には、人口の分野において2つ大きな特徴がある。それは人口の規模と人口の構造上である。20数年間の計画出産の実施によって、人口規模をコントロールする面においては、世界においても注目される成果を収めた。出生率を抑え、人口の増加を低下させたのである。人口構造の問題としては主に出生率の急速な低下によって、子どもの人口が総人口の中で占める割合は相対的に下降し、高齢人口が総人口の中で占める割合は相対的に上昇し、人口高齢化の諸問題が次第に明らかになってきたことが指摘できる。

中国における人口高齢化の先頭に立った上海市は、21世紀に向けて、国内的には全国の経済発展の推進力の役割を担い、国際的には経済、金融、貿易の中心の地位を確立し、国際経済主要都市となることをめざしている。同時に、既に高齢化社会に突入している上海市にとっては、その目標達成過程において人口高齢化の問題を直視し、その対策を確立することが極めて重要である。

 

上海市は30年代から世界における重要な都市の1つであるが、なぜ今日になって改めて国際経済主要都市を目指そうとするのか、関心を呼ぶところであろう。実は、中華人民共和国の成立以来、経済開放・改革まで、上海市の財政収入のうち市が必要とする部分の外はすべて中央政府に吸い取られていた。その金額は全国の財政収入の六分の一

 

 

 

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