(3) 所得再配分
現在の家族給付では、受給資格を得るための所得上限制限を付けた手当が大半を占めるようになり、裕福な世帯には給付を与えなくなっている【図表5-2参照】。家族手当は最も歴史が古い基本的な家族給付で、受給には所得の上限制限がないために、子どもを2人以上扶養する世帯は少なくともこの手当だけは受給することができた。しかし1998年からは所得上限制限付きで支給されることになり、高額所得世帯には支給されないことになった。家族手当を受給している約450万世帯であるが、この制限によって約7%の世帯(約35万世帯)に対する支給が停止されることになるとみられている【図表5-8参照】。家族手当にも所得上限制限が付いたことにより、家族給付の中で裕福な家庭にも与えられる手当には、片親家庭や障害者を扶養しているなどの特別の事情がある家庭を除外すれば、乳幼児を育てる者の仕事と育児両立問題に関する援助(家庭保母手当、保母雇用家庭補助、養育親手当)しか残らないことになったといえる。