先ほど山野さんの中国での事業、計画は非常に魅力的な発電かんがいシステムですね。こういう場合には、例えば中国と取引する方が、今いろいろと問題が出ている世界のヘッジファンド的な非常に投機性の強い通貨システムの中で、例えば中国と取引するような場合に固定相場制の方がやりやすいのかどうか。
僕は香港に来週から行くのですけれども、どうも香港ドルは高過ぎるんじゃないかと思うんですよ。これが、ペッグ制から外れたら大分楽になるんじゃないかという感じがしてるんですが、その3つの通貨のシステムの仕方は今後どうなるかということと。
それからもう一つは、先ほど出ました円サークルの問題ですね。これが今後可能かどうかと、そのメリットはどこにあるかというのをちょっとお聞きしたいと思います。
●座長:原
どうもありがとうございました。
それでは幾つか重要な問題が出てきているんですが、まず篠原さんの方から二、三分ずつで。
●篠原
短資の規制は一国ベースかリージョナルベースか、技術論の方からどうかとういう話がありました。
これは、簡単にやるんだったら一国ベースでできます、やります。それは管理法、あるいは有事規制みたいなものを敷けばいいんで、そういう意味で金融政策、マクロ政策としてそういう規制を敷くのは一国ベースでしたら一国の意思決定でできますけれども、これをある統一的な規制として、こういうファンドのこういう動きはこの地域に来ちゃ困るねというふうにしようというのは、これは応用科学ですね、非常に難しい応用問題だろうと思います。今後こういう議論を高めていくことになるかもしれないということはあると思います。
ペッグとフロートという話ですが、アジアの諸通貨はペッグをしてきた、例えばタイなんか10年もやってた、相手はUSドルでした。長期的に言えばUSドルはこの10年間ずっと切り下がってきた。そこが安定的であると、タイも実はこっそり安定的に切り下がってきて、したがって輸出競争力そのものが毎度更新されて、いい輸出の実績のもとに経済成長が描けたんです。これは、過去2年半ドルの独歩高になって変わってしまったっていうことがポイントです。
ですから、ペッグがいけなかったんだとは言いませんけれども、ドルの独歩高がしばらく続くなと思ったらそこで調整をするというチョイスはあったかもしれないと思います。
それから、香港はGNP、GDPの93%がサービス産業ですから、香港のサービスを外国の人が買ってくれて、7.8香港ドルが1ドルで計算して、外国の人が払ってくれた外貨で必要なものを賄える、輸入ができるという限りにおいては調整する必要はないんですけれども、お話のとおり香港のサービス高いですよね、シャングリラ1泊4万5,000円ですから。これはアメリカのドルが切り下がっていくであろうという見通しがあれば頑張るんでしょうけれども、延々とドル独歩高が続くとしたらどこかで調整を考えるかもしれんという気はしています。
円のサークルは可能か、メリットは。円のサークルは可能だと思いますし、考えていきたいと思っています。メリットはアメリカを考えると一番わかりやすいです。借金を自国通貨でできる。あんなずるい人いないですね。そりゃあ、メキシコにメキシコペソでだれも金を貸さなかったんですよね。貸したつもりのペソがこうなっちゃったら私どうなりますという話です。だけども、自国通貨で借金ができるというのは非常に大きなメリットなんだろうと思います。
●山野
私はファイナンスの専門家ではありませんが、今のお話の中で2つほどお答えできると思います。 今、最初に白石さんがおっしゃったように、こんなことをしていたらバーチャルの世界が現実の社会を非常に混乱させるが、それをどうコントロールするかという極めて本質的な問題です。我々のようにハードウエアをつくって売っている者は、こんなことでいいのかという絶えざる疑問があります。物理学をしていると、大変しんどい仕事をして計算をして、給料が入ってくるわけです。一方電話をかけるだけで仕事ができればもっとその方がいい。これが私はやっぱり現在の社会の問題の一因であると思います。理科離れというか優秀な学生が全部皆さん方の、パカセムさんのような仕事にいってしまうわけです。
それで、この問題というのはどこかでマスターがいないといけないと思うのですけれど、マスターが誰でどういうようにするかは、いろいろな方がお考えいただいたらいいのです。専門家の方には釈迦に説法ですけれども、そのかわりこういうこともあるということも、少し説明しておくべきだと思います。
例えば、各国の研究費を比較する白書が毎年出ておりますが、IMFレートで比較するとつじつまがあいません。ですから、どういうふうに評価するかと言えばバイイングパワーというもので評価するわけです。そうしますと、大体そこに合理性が出てくるわけです。