ものですけれども、まだまだ円の調達市場としての役割を多様化していくというところも考えていく点がありそうだということであります。
逆に、円を運用市場として考える方々へのやらなきゃならない点は、山ほどあります。税制の例えば源泉税から始まって、早く一つ一つ解決をつけていって、いわゆる国際市場らしく、資金の出入り、両方向を約束し、使い勝手がいいんだというのを約束していく市場にしていかなければならないと思っています。
時あたかもビッグバンと言われていますし、管理法も改正してなくなるということもありますし、金融機関を公的資金を使って、ともかく再生していこうというコンセンサスもいただけたようでございます。今度はこれを今申し上げた線に沿って、市場を使い勝手よくしていくという努力を最大限にやっていかなければならないと思っております。
●座長:原
どうもありがとうございました。
非常にクリアに日本の4月の外為法の改正、通常ビッグバンと言われているんですけれども、そんなふうなことを踏まえて、日本力何をすべきかという、非常に具体的な話を出していただきました。大変ありがたい論点になってきましたので、ぜひ、議論をいろいろしていただければと思います。
本当は予定していた榊原英資さんがお見えになってないので、榊原さんが最近よく言っている言葉を、今日のテーマとの話で友人としてご紹介しておきたいと思います。世界中に動き回っている短期の資金の移動をいかに飼いならすかということが重要なんだという、そういう表現を榊原さんはされております。飼いならすというのはワイルドな野生の動物を家畜にするような、そういう意味での飼いならしという表現です。グローバルな、バーチャルな情報革命がこんなに進んで、あっという間に世界じゅうを、世界の貿易量の実に数十倍、数百倍のお金が瞬時に動いてしまう、そういうグローバライズされた短期の資金移動をどう飼いならすか、そういったことが重要ではないかということを、彼はよく言っております。そういう飼いならしをしておかないと、山野さんがおっしゃった物づくりをするのに長期の投資なんかできっこないということになります。そういった問題が今問われているんじゃないかと思います。
●白石 隆(京都大学東南アジア研究センター教授)
今原さんがおっしゃったことに関連することで1つ、皆さんどう考えておられるかぜひ伺いたいと思うんですけども、それは非常に単純なこういうことなんです。
例えばスハルト大統領が1月15日にIMFとの改革案の合意書に2度目に署名しましたときに、彼が今まで我々が30年やってきたことは半年でだめになったと、「ハンチュール」とインドネシア語でこうやって、それで何とも言えない顔をしたんですね。要するにこつこつこつこつと、今原さんの言われた言葉を使えば、長期のお金を物づくり、人づくりに使ってきて、それが半年でだめになったときに、やっばりこれはだめだと、幾らやったってだめじゃないかということが、一方ではどうしても起こってくると思うんですね。だから、物づくりにお金を使わなきゃいけない、人づくりにお金を使わなきゃいけない、民間の企業もそうやって世界的に企業展開しなきゃいけないと思う。それは正しいことなんだろうと思うんです。だけどもその一方で、やっても半年でだめになるんだったら、やっぱりやってもしようがないかなという、非常な敗北感みたいなものは今あると思うんですね。じゃ、そのときに、それでもやっぱりやらなきゃいけないんだという根拠というのは何なんでしょう、ということです。
●座長:原
白石君は、30年ぐらいの友人なんですけど、いつもとんでもない質問をする人ですから…。
●パカセム
民間資本の移動については、4つの論点から議論することができます。一点目は、海外直接投資です。製造業にとっては、海外直接投資はなんの問題もありません。過去5年間において、海外直接投資は、他の資金と比べ、あまり大きな役割を果たしていないようです。
二点目は、長期的な削減として、過去5年間で大幅に減少した政府開発援助です。民間資本の移動は、政府開発援助の伸びの約5倍に当たる3,000億ドル近くに上り、政府開発援助はわずか550億ドルにとどまっています。
残りの二点は、二種類の資金です。これらの資金が最も重要です。一つは投資信託です。投資信託は短期的な移動資金で、仕手株式相場、投資市場、有価証券市場などを出入りします。
もう一つはヘッジファンドです。ヘッジファンドの数は900あり、総額は5,000億ドルに上ります。ヘッジファンドが、出入りを繰り返しています。大手ヘッジファンドの中でも、ジョージ・ソロス・ヘッジファンドは「クアンタム・ヘッジファンド」などと呼ばれ、従業員のほとんどが米国人です。奇妙なことに、ヘッジファンドは米国国内では運用されておらず、国外で