後は50ほどしかなかったので4倍近く増えているわけでありますけれども、これが3,000近くに増える可能性もあるわけです。
このように文化が分化していく、世界が分化していくというのは私はこれは地球の意思であるというふうに思います。なぜ地球というようなことを言うかというと、まさにここでグローバリゼーションということが問題になってくるわけであります。我々は1960年代以降、地球を丸ごと見ることができる、そういう視覚、視点、見地というものを技術的に獲得しているからであります。1961年にガガーリンが地球を外から眺めて地球は青かったとその印象を語ったわけであります。すなわち我々は日本の毛利衛さんや向井千秋さんなどが宇宙飛行士として回られておりますけれども、地球を外から見ることができるようになりました。まさにこれこそグローバリゼーション、見方におけるグローバリゼーションでなくて何でしょうか。
そういうグローバル、つまリグローブというものは水が循環している青い水の惑星である。すなわち地球は、地球の表面積の7割が海から成っています。その7割の残りの3割をアメリカやユーラシアやオーストラリアやいろいろな5大陸が分けています。そうすると大陸といっても大きな島でしかない。地球は島々から成り立っている、島々の結びつく中で我々は生きている。マルコ・ポーロの時代にはひょっとすると地球の向こうはノアの洪水の水がどこかで落ちているに違いないと思っていたわけですが、我々は地球を文字どおりグローバルに見ることができる時代に来ているわけであります。
そのような中で、ひるがえって日本はどうするべきか、日本の文化はどういう役割を果たすべきかということであります。私は過去の遺産に学ぶというふうに申し上げましたが、近代の1つの形として海洋アジアから学んでこの国がつくり上げた国家の形がヨーロッパにも憧れられた、そのことに注目したいと思うのであります。日本が西洋やアメリカに憧れる、あるいはアジアがヨーロッパやアメリカに憧れるというのは何か当たり前でありますけれども、実はアジアから学んだ日本の形に欧米が憧れたということは余り知られてはおりません。開国した当時に先ほども言いましたようにガーデンシティーであるとか、あるいは日本の版画や浮世絵がフランスやドイツやイギリスに流れました。フランスで印象派が栄えますけれども、そのうちの1人クロード・モネは庭をつくって、そこに花々を植えて池をつくって橋を渡しました。その池に蓮を植えました。一体それはどこから来ているのか。日本の庭の景観をそこに映しているわけです。そして大鼓橋をつくりました。それは日本の橋です。自分の目的は庭をつくることである、そして花を植えることだと、そうするためにお金を稼がなくてはならないから絵を描いている。その庭の模型を家の中に版画としてたくさん飾ったわけであります。ですから我々は自覚してはおりませんけれども、自分たちの形の中にきれいなものを持っているのです。
そして今人類が直面している問題、ヨーロッパ流のグローバリゼーションの中でつくり上げた2つの問題、1つは貧富の格差、 もう1つはフロンティア開拓による自然環境の破壊がありますが、貧富の格差を克服するための社会主義が破綻した。そして自然環境の破壊については、これはリサイクルというものを歴史的にしたことがない。しかしそれをした国がある、それはどこかというと日本である、とするならば、我々は地球社会を眺めながらこの国をつくり返すというようにすることができるのではないか。この国は北は北海道から南は沖縄まで、亜寒帯から亜熱帯まで広がっているわけです。いわば地球的自然がこの小さな島々の中にミニチュアとして入り込んでいる。寒帯的なものも熱帯的なものも全部その中に入れ込むことができるような生態的特徴を与えられている。そこの中で自然を生かしながら、言い換えますと庭をつくりながら国づくりをする。そうすると寒いところから暖かいところまでのいろいろな違う自然生態を人間が生かしていくという形で、生活景観をつくりかえることができるのではないか。それを私は日本は6,800の島々から成っておりますからガーデンアイランズというふうに言えるのではないかと思います。
日本列島はフィリピン、インドネシア、さらにオーストラリアまで世界で最もたくさんの島々が集まっている西太平洋の一番北のほうに位置しているわけでありますが、地球がそういう島々のネットワークでつくられているということが認識されるならば、そしてそこに最も美しい鳥々を日本がつくることができるならば、きっと日本は憧れられるに違いありません。文化は3,000あるというふうに言いましたけれども、文化には憧れる文化と憧れられる文化があると思います。そしてその憧れられる文化のことを私は文明と言いたい。文化の定義は生活様式として学術的に定義ができますけれども、文明の定義は人によって違います。憧れられる文化というのは、例えばアングロサクソンの大英帝国がつくり上げたパックスブリタニカ。これは文明と称してよいでしょう。そういう意味では憧れられる文化になれるかどうかということが今日本の21世