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趣旨説明

 

安藤仁介

(京都大学法学研究科教授)

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今日、この会議を持つに至った経緯、それからこの会議の狙いについて、簡単にご説明させていただきます。

まず、内外からこのシンポジウムのためにお集まりいただきました先生方、そして開催に協力いただいた各方面の皆様、さらに本日、この会議のためにご参集いただきました皆様方に厚く御礼申し上げたいと思います。

21世紀が直前に迫りまして、特にアジア大平洋地域がそれにどう対処していくかは極めて大きな問題になっております。すでに国家対国家のレベルではAPECあるいはASEAN等に見られますように、これに積極的に対処していこうという姿勢が伺われます。

もちろん政府間レベルではなくて、その前提として民間、我々自身、この問題にどう対処していくかということは極めて重要な問題であり、この会議もそれについていろいろな角度から検討することを大きな狙いとしております。

とりわけ我々日本にとりましては、アジアの一員でありながら、同時に西側の世界とも関連が深いという特殊な状況を踏まえてこの問題にどう対処していくか、特にアジアの他の同胞と共に、どう立ち向かうかということは特殊に重要な意味を持っているように思われます。

そういうことで、大阪国際交流センターでは、2年前に「アジア大平洋地域のネットワーク研究会」、これは主として文化的な情報交換、それに基づく相互検討というものをめざしております。これを発足いたしまして、私が座長を仰せつかり、これまで数回の会合を重ねて今日のシンポジウムの準備を整えてまいりました。

今後、アジア太平洋地域において、そういった情報の交換、それに基づく具体的な協力関係をどのように築いていくかということは、極めて重要な問題であり、単にアジア地域のみならず世界の他の地域、大きく言いますれば、人類の将来にとってもそれなりの意味を持つ問題であろうかと思われます。

そういうことで、日本語では「アジアの叡知会議」、英語で“Asia-looking to the Future”となっております、この会議を開催することにいたしました。

会議の内容はお手元のパンフレットでご覧いただけるかと思いますが、このすぐ後、フィリピンのギンゴナ前司法長官から「21世紀の世界とアジア」というテーマで、それに続いて東亜大学大学院の山崎正和教授から「21世紀のアジアと近代化」、副題として「環太平洋共同体の一員として」ということで、基調講演をいただく予定でおります。

そして、この基調講演を踏まえまして、その後、4つの個別のセッション、まずアジアとは何か、これは我々はわかったように「アジア」という言葉を使いますけれども、地理的に、そして時期的にアジアをどうとらえるかということは極めて重要な問題でありますもそういうことで、まずアジアとは何かと、そしてそれを踏まえまして、現在地球を覆っておりますグローバライゼーション、地球化といいますか、それがアジアの従来の文化の枠組みに、さらに今日緊急の問題となっております経済の枠組みにどのような影響を与えるか、そういうものを踏まえて将来におけるアジアの国際関係をどのように構築していったらいいかと、この4つのセッションの後で、明日の午後になりますけれども、それでは将来に向けてまさにアジアがどのように行動すべきかということを考えていきたいと思っております。

実は、一言お断りする必要があります。それはアジア、さらに人類の将来を考える上で、お隣の中国の問題を除いて通ることはできません。今回もいろいろなチャネルで中国のほうからパネリストをお呼びしようと努めたのでございますけれども、諸般の事情により果たすことができませんでした。

ただ、今回の会議はこれで結論が出るというのではなくて、いろいろな新しい問題を考えていく手掛かりをつくろうということでございますので、いずれは中国からの参加も得て、より幅の広いシンポジウムにつなげていきたいと考えております。

パネリストを中心に参加されました皆様方の積極的なご発言、ご提言を期待いたしまして、主催者側の会議説明とさせていただきます。

どうもありがとうございました。

 

 

 

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