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クラス3 疼痛により水泳活動に支障を来たし,競技力に影響を与えるもの,

クラス4 疼痛により水泳活動が行えないもの,

1)安静:クラス3,4の段階にある選手に対しては安静が必要となる。クラス1,2にあるものは以下に示す対処法で練習を継続できる。

2)アイシング:練習終了後直ちに氷により烏口肩峰靭帯付近のアイシングを行う。このため練習場には製氷器の施設を持つことが望まれる。スイミングキャップに氷塊を入れて行うと扱いやすい。

3)ストローク数の制限:インピンジメントの機 会を減らすためにはストローク数を減らす必要がある。そのためには上肢のみで泳ぐいわゆるプルの練習を減らし,下肢のみで泳ぐキック練習を増やす。この際肘伸展位で浮力の大きいキックボードを用いると,肩関節痛を生じやすいため,浮力の小さいキックボードを用い,肘を軽度屈曲させて行うことを指導する。また,ターンを壁のバー等をつかんで行うと,肩に疼痛を生じることがあり,注意が必要である。

4)フォームの改善:インピンジメントを起こしにくくするためには選手のフォームの特徴を把握し,改善点を指摘する必要がある。

・手先行のリカバリー:ハイエルボーで肘が手に先行するようなリカバリー動作を行うことで,肩関節内旋位における肩関節外転動作を行うこととなり,インピジメントを起こしやすくなる。肩関節外旋位において外転する際には,棘状筋腱の付着部が後方に移動して肩峰下の空隙が広がるため,インピンジメントは起こりにくくなる。したがって,プル動作が終了し内旋位にある肩関節をリカバリーの早期から外旋位にするように,すなわち手が肘に先行するようなリカバリー動作を行うことが必要である。

・入水時の過度の肩内旋の是正:ハイエルボーで水をかくためには入水時には掌は外側を向くように,すなわち肩関節内旋位をとるように指導されているが,この内旋が強調されすぎるとインビンジメントを生じやすい。入水時の過度の肩関節内旋は是正する必要がある。

・ローリングを大きくする:クロール泳で練習を行う際にはローリングを大きく行うことによってリカバリー時に肩外旋位にあってもハイエルボーを保つことが出来,滑らかなリカバリーが可能になる。また肩関節を過度に内旋させること無く母指から入水させることができるようになり,ハイエルボー位で水をつかむことが可能ととなる。

 

 

 

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