また,骨盤の傾きに影響を与える下肢の筋群の柔軟性の獲得も重要である。水泳選手は柔軟性に富むものが多いが,練習前には充分なストレッチ運動を行うことが望まれる。
4)腰椎伸展位の制限
1.フォームの改善(図13):バタフライ泳時に,呼吸動作により過度に頭部を持ち上げることは腰椎の伸展を強制することになり,腰椎への負担が増す。体幹を水面に平行に近い位置に保持することが腰への負担を軽減させる。またこの様な水中姿勢は,推進による水の抵抗を減じ,競技力を向上させることにもながる。
2.キック泳時の注意(図14):キック練習を行う際に,浮力の強いビート板を用いると,上半身が浮きすぎ腰椎は伸展位を強制される。浮力の強すぎないビート板を用いることが,特に体重の少ない子供には重要である。
3.背筋トレーニング時の注意(図15):背筋トレーニングの際に,床にうつ伏せになった状態で,上体反らしを行うと腰椎の伸展が強制されてしまう。図のように上体を台の端からおろした位置から,持ち上げる動作を行うことにより腰椎を伸展せずに背筋トレーニングを行うことができる。