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腰椎伸展位で増強する腰痛を有する,成長期の選手は本症を疑いレントゲン撮影を行う。分離部を確認するには腰椎の4方向のレントゲン撮影が必用であり,斜位像にて分離部を確認する(図5)。但し分離が完成していない初期の段階ではレントゲンで確認できないことも多くその際には,CT検査,骨シンチグラフィー(4),MRI(3)等の特殊な検査によって早期発見を行うことが勧められる。

一般に行われている治療法(図6):上述の様な検査において腰椎の分離が確認された場合,それが初期の段階であればコルセット装用により80%の確率で分離部の骨癒合が期待できる。従って現在初期の分離症に対して推奨されている治療法としては,スポーツ活動の制限・中止と共に腰椎の伸展・回旋を制限するコルセットを約3ケ月間装着し,その後徐々にスポーツ活動へ復帰させていくというものである。分離部が完全に修復され,その後適切な対処を行えば腰痛をおこすことなくスポーツ活動を継続できる。

しかし,実際には伸び盛りの選手に,この様に長期間の運動制限を行わせることは困難である場合が多く,その選手のおかれている状況によっては運動を継続しながら,対処を行うという方法も考慮される。この様な判断は,選手・保護者,指導者,医師の3者が充分に話し合って行うべきものである。

初期の段階で治療を行わなかった場合,分離は進行し(進行期),最終的には終末期となる。

分離が完全に出来上がってしまった終末期の段階においてはコルセットによる固定では骨癒合を得ることは困難である。この様な選手には,コルセット装着により分離部の修復を期待することはあきらめ,分離を持った状態で腰痛をおこさないようにしながらスポーツを続けるための対処を行う必要がある。

 

 

 

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