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つまり,腰椎への負荷が加わり分離が進行していくときには強い腰痛を生じるが,一旦分離が完全に出来上がってしまうと分離部には神経組織が乏しいため腰痛は軽減する。その後,分離部に刺激が加わり続けることによって分離部に神経組織が増殖してくるため,腰痛が出現する(3)。

 また成長期に分離が形成されてしまい,その後も腰椎に負担が加わり続けた場合には,力学的負荷は椎間板に集中することになり徐々に椎間板の変性を来たし,同部で腰椎のずれを生じることになる。このように分離に引き続き腰椎間がずれた状態を分離すべり症と呼ぶ。

 分離が存在することだけでは腰痛は出現しないが,腰椎に負荷が加わることによって分離部は刺激を受け腰痛を来し,すべり症にまで進展してしまう過程においては椎間板由来の腰痛や,神経根の刺激による下肢痛(坐骨神経痛)を伴うようになる。

診断の方法:腰椎分離症による腰痛の特徴として,屈曲(前かがみ)は問題なく出来るが,伸展(後ろ反らし)が困難となる(図3,4)。

 

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