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イルカの尾びれは,クジラ類に属し,図51)のような形をしている。この尾びれは,水面に対して平行である点で魚類と異なるが,推進力の生み方については同じである。図63)はイルカの尾びれの運動で,下向きと|1向きの運動に分けられ,どちらからも推進力は発揮される。

 

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2) ドルフィンキック動作(青山綾里選手)

 

世界のトップスイマーである青山綾里選手の水中ドルフィンキックを,写真5および6に示す。英語では,けり下ろして写真5)をダウン・ビー卜(downbeat),けり上げ(写真6)をアップ・ビート(Up beat)と呼ぶ。1キック当たりの時間は0.4〜0.45秒の範囲で,ダウン・ビートが0.17〜0.20秒,アップ・ビートが0.20〜0.25秒で,ダウン・ビートがやや短時間で行われる。

?@ ダウン・ビート

まず,股関節が屈曲動作(膝をお腹につける方向に曲げる)を行う。体幹にはほとんど動きはみられない。?Bが最も屈曲した姿勢で,その後,わずかながら伸展へと向かう。つまり,?B以降は,大腿部がやや持ち上げられていることがわかる。膝関節では股関節の動きが屈曲から伸展への移行時に,膝関節は素早い伸展動作が行われる。次に膝が伸ばされるにつれ,足関節(足首)の背屈動作が行われる。足首の柔軟性が高ければ,?B〜?Dのような“しなり”が生じ,これは推進力を生む上で大切なことである。

?Aアップ・ビート

?Eから?Jまで,股関節の伸展動作が行われる。それゆえ,最初の局面は,大殿筋(お尻の筋肉)の働きが中心となって,アップ・ビートが行われている。そして,大腿部が最大に持ち上げられた状態(?J)から,膝関節の屈曲動作と足関節の底屈動作によって,さらにアップ・ビートが行われる。

写真5のダウン・ビートと写真6のアップ・ビートをあわせて,ドルフィンキックをみると,図6のイルカの尾びれの上下運動とよく似ていることがわかる。

 

3)青山選手のドルフィンキックのスティックピクチャー

 

図7は,ドルフィンキック2回分のスティックピクチャー図である(100mレースの20m付近)。図7−Aにあるように,指先,手首,肩,大転子(腰),膝,足首,そして足先の7点を線で結んでいる。下の図(C)は,指先,肩,大転子,膝および足先の5つの部位の軌跡を示す。

スティックピクチャーの図(B)や各部位の軌跡(C)から,

 

 

 

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