Maglischo4)は,このアウト・スウィープ局面は推進力を生むための動作ではなく,次のイン・スウィープ局面により,大きな推進力を発揮するための準備動作であるとしている。
?A イン・スウィープ局面(No.2−3)
イン・スウィープ局面は,推進力が大いに発揮される局面である。図中のNo.2でしっかりと水をとらえ,肘関節と肩関節の動きによって,内側へのかき込み動作が行われる。また,内側への動きにあわせて,図3の前方(A)や側方(B)の指先の軌跡からもわかるように,下方向にも水をかいていることがわかる。図中での指先の軌跡に対して,手の平は,必ず迎え角が保たれた状態で,プル動作が行われるので,揚力が常に発揮される。
?B アップ・スウィープ局面
この局面は,クロール泳でのアップ・スウィープ局面とほぼ同じと考えてよい。手は,上・外方向に移動し,主に,肘関節の伸展動作によって行われる。イン・スウィープ局面と同様,大きな推進力を発揮する局面であり,そのためには揚力を十分に生まなければならない。したがって,手の平は,指先の軌跡に対して,必ず迎え角が保たれた状態で,プル動作が行われる。
3) プル動作中の推進力
指先の軌跡に対する手の平の迎え角はどうなっているのか。図4に,図3−Cの下方向からみた,その軌跡に対する手の平の迎え角を描いた。右手および左手の,?@;アウト・スウィープ局面からイン・スウィープ局面への移動時であるキャッチ時,?A;イン・スウィープ局面中,?B;イン・スウィープ局面からアップ・スウィープ局面への移行時,?C;アップ・スウィープ局面中での,手の平が描かれている。そして,手から発揮される抗力(D),揚力(L),そして推進力(P)の方向が示されている。
実際に,プル動作から発揮される推進力は,左右の手の推進力(P)の合力(左手の?@と右手の?@のPの合力)となり,その合力の方向は,常に推進方向となる。
4) トップスイマーのプル動作(衣笠竜也選手)
写真1〜4は,200m個人メドレーの日本記録